ありがとうございました2008/08/18 19:07:47

本年上半期最大のイベント(笑)が終了し、「箱」は無事に私のもとへ帰ってきた。ほんとに、思いがけず大きな「作者孝行」をしてくれた「箱」。あっぱれだったぞ。ありがとうよ。

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展示会場へ足をお運びくださったみなさま、ありがとうございました。
心より御礼申し上げます。
メッセージカードを入れてくださった方、昨日、搬出時に受け取りました。感激でジーン。ほんとにありがとうございます。
メールや手紙、電話をくださった方にも、あらためて御礼申し上げます。

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世の中ではオリンピックの話題で持ちきりだが、それと一緒くたにしてはまったくどちら方面にも申し訳ないけど、こういう公募形式の展覧会ってオリンピックみたいなもんだなーと思わなくもなかった。つまり、「参加することに意義があり、参加しなくちゃ始まらない」ということである。デザインセンスもなく、手製本の技術も未熟であるゆえ、出品にはむっちゃためらいがあったけれど、えいやーでつくって出してよかった。出して、会場にある自分の作品を見たときの「うむむむむ」、他の出品者諸氏の力作の数々を手にとって観たときの「うーむ」。ウーとかムーとかいってごまかすつもりじゃなくて、感じたことが山のように星のようにありすぎて書ききれないのでそう表現したまでなんであるが、こういうさまざまなあれやこれやは、やはり参加しなくては得られなかったことなのである。出品するぞと決めて、プランを立て、試作して、作り直して、完成させて、搬入して、始まって、観てもらって、感想を聞いて……。自分で見て。長い長いこのプロセスはつくり手にしか経験できない時間だ。この時間だけが生んでくれる、多くの人からの励ましや感想。得がたい宝石のような、幾つもの、たからもの。
それと、手応え。
「本づくりは、面白いぞ」。
「何が何でも、自分の本をつくるぞ」。
そういう、手応えである。

私には大手中堅の出版社に勤める友人知人がいるが、今回の展覧会の案内を彼ら彼女ら、つまり編集出版のプロにも出すという暴挙に出てしまった。
そして例外なく温かい言葉をいただいたのであるが(みなさんありがとう。涙)、なかでも嬉しかったのは:

「お話がすごく面白かったよ」

聞いた、聞いた? おーい、鹿王院知子さーん!!!

今回の公募展に出品する前には、芦屋の手づくり本展に参加したが、そのときも今回も感じたのは、本にはやはり「テキストの力」が不可欠なのである。「詩」でも「文」でも「つぶやき」でも「擬音」でも。
装飾やあしらいや仕掛けをすっかり排除したあとの、残ったテキストだけでも持ちこたえうるか?
持ちこたえる力をもったテキストだけが、ページや扉や表紙といった衣を纏っての勝負に、勝ち残れる。

鹿王院知子さんの『箱』は、そんなサバイバルに挑戦する資格のあるテキストである。今回はたまたま私が『箱』を利用させてもらったが、彼女の文章は、そういう「仕立て甲斐」があるのだ。
読み手が最後のページをめくるまで手離さないでいるような本。そういう本に仕立ててやるぞーという気にさせてくれるのである。

鹿王院知子さんへ。
ありがとうございました。次回もよろしくお願いします(笑)。