Les jeunes sont comme des fruits verts, mais ils sont tres forts...2011/05/17 20:14:02

『反撃』
草野たき著
ポプラ社 (2009年)


もしかして短編ならけっこう面白いかも、と思って草野たきに再チャレンジしたのが本書。これは、なかなかに痛い毎日を送っている少女がその「逆境」にめげず、負けず、耐えるばかりでなく「反撃」に出るストーリーを5人の少女分、5編をまとめた短編集。物語のほとんどを、一人称で少女自身が語る自分自身の葛藤の日々が占め、そして、反撃に出てなんらかの「成果」を得た数年後、イキイキと自分らしく生きる当の主人公を、今度は三人称でまとめて締めくくる、といった体裁。その締めくくりの部分に出てくる主人公の友人が、次の短編の主人公になる、というふうに連なっている。

5つの短編のあらすじは検索かければけっこう出てくるのでもう書かない。
ポプラ社サイトでの紹介ページはここ。
http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=80010230

前エントリで挙げた『メジルシ』を思わせる、(私にとって)草野たきらしい流れは「いつかふたりで」。『メジルシ』の後半のくだりのように、母と娘のちょっと説明的な会話が残念な感じ。この一編はそういうわけで結末も早くに見えてしまった。
でもそれはあまり問題ではない。どの少女も基本的には真面目に精一杯の努力をして、毎日をよりよくしたいと思いながら生きている。努力の方向が少しずれてる、勘違いしてる、というところが悲しくもあり笑わせるところでもある。何もかも思いどおりではないにしても、結構いいカタチで大人への階段を上っている、そのことの窺える結末が読後感をよいものにする。

とてもとても僭越なことを申し上げるけれど、『メジルシ』よりは数段いい。上達したじゃない草野さん、という感じ。読者として想定しているのは中学生だが、幅広く見積もれば小学校6年生から高校1年生までイケるだろう。『メジルシ』は部分的に冗長で主人公の振る舞いにでき過ぎの感があったが、本書の短編はそれぞれ短編として必要十分、冗長さはなく、複雑な物語でもなく、まさにウチのお嬢さんあたりにうってつけである。というわけでこれもヤツに薦めてみよう。

コメント

_ 儚い預言者 ― 2011/05/18 12:01:32

りーちゃん元気かなー。何故か気になる。
さなぎちゃん、そろそろ家事も、できるんちゃう。
おばあちゃんの世話も、しーなあかんし。

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