Quelques idées...2011/11/19 20:45:38

朝からどしゃ降りだった。
あ、牛乳がないでえと娘が言う。おばあちゃんが朝コーヒーに入れたらそんだけになってしもた、と母が申し訳なさそうに言う。とりあえず今は足りるしええで、と自分のココアに残った牛乳をすべて入れながら娘が言う。牛乳あらへんなあ、と確かめるように母が言う。ええやん、と娘が言う。どうしよう、とさも大変なことのように母が言う。ええやん、ともう一度娘が言う。ちょうちゃん今日買い物行かへんか、と母が言う。行かへんと私が即座に言う。牛乳あらへん、と母が言う。知ってるよと私が言う。あらへんし、とその次の語を継ぎたそうな声で母が言う。このどしゃ降りの中あたしに牛乳を買いにゆけとゆーんですかあーたは、私たちは人間です牛のおっぱいなんざ摂取しなくても生きてゆけるんですっ、と私が言う。そやな、と簡単に引き下がり、ほな明日にしよ、と母が言い、牛乳ストーリーは終結。
雨足はちっとも弱まらない。
今日、薬局に行って買いたいもんがあったのにねえ、サービスデーやし。ちょっと面倒な距離にあるからいつも自転車だが、歩いていってもたいした時間はかからない。だけどわざわざびしょ濡れになるために外に出ることもないやんなあ。しょうがないので部屋の片付けと掃除をする。いや、これは本来しょうがないからすることではなく、日々積極的にしなければならない重要な家事なのだよ、などと言いながら。
夕方、少し小降りになってきた。
行こうか。
どこ行くの、と母が訊く。薬局、と娘が答える。薬局に牛乳売ってるか、と母が訊く。売ってるけど買いませんっ、と私が横から叫ぶ。
傘をさして、娘と歩く。
あれこれと話をしながら歩く。
家事の合間に、私がパソコンとにらめっこしていたのを指摘して、何書いてんの、と娘が訊く。えっとね、原田芳雄のこと、と私が答える。え、それまだ終わってへんかったん、と娘が笑う。うん、でも、やっと終わりそうやで、と私も笑う。
薬局で、娘のダイエット食品と、私の二日酔い止めサプリを買う。お母さんもそんなん飲むようになったらもうアカンな、と娘が言う。こんなん飲んでまで飲まんでええのにな、と私が言う。大げさな飲み会や食事会だけでなく、ちょっと友達と立ち寄ってきただけでも、翌日ひどい頭痛と腹痛に襲われて何も手につかなくなることしばしばで、そんな母親の健康を心配するというよりは、朝ご飯とお弁当ちゃんとつくってくれんと困るしな、と目下超ダイエット中で食事の中身に小ウルサイ娘が横目で私を睨む。超ダンサー向け低カロリーかつ栄養満点必勝献立に文句は言わせませんよと私が唇の端だけで娘に笑う。
暗くなってから、レッスンに向かう娘の背中を見送る。
明日、勝負の日やねん。
な。
まず一勝、しなあかんしな。
ここんとこずっと維持しているベストコンディションをもう数日。
いい緊張キープしよう。
な。
いまここってときにベストを尽くすため、日頃手も気も抜いて生きてるんだし(笑)。
な。
雨が止んでよかった。明日は晴れそうやし。
あれこれ思いながらあくびをひとつしたら、いつものように猫が私の膝へ来て、数分間踏み踏みしたあと丸くなって、くうと寝た。