Penser et réfléchir. Ce sont seuls ce que je puisse faire.2014/12/17 23:57:14

相変わらず購読しているメールマガジン「チェチェンニュース」から抜粋、一部改行等編集して転載。

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差出人: チェチェンニュース編集室 mag2 0000093520 <mailmag@mag2.com>
件名: チェチェンニュース#443 最近の銃撃戦とグローズヌイ
日時: 2014年12月7日 6:09:43 JST

チェチェンニュース(転送・転載・引用歓迎)

12月4日に、チェチェンの首都グローズヌイで、ゲリラと治安部隊の戦闘がありました。日本語の報道でも流れていたので、知っている方も多いかと思います。10月にも大規模な爆破事件があり、不穏な情勢は続いています。
これらの件についてはそれ以上の情報はありませんが、最近チェチェン人から直接聞きとったインタビューをお伝えします。事件の背景や、今のグローズヌイの雰囲気が少しでも伝わるといいのですが。ご一読ください。(大富亮)

(中略)

■最近のグローズヌイ

チェチェンとヨーロッパを行き来している、ビジネスマンのチェチェン人、Dさんに話を聞きました。ちょっと尻切れトンボになってしまいましたが、情報として紹介します。

チェチェンニュース(以下CN):10月5日にも、グローズヌイで爆破事件があって警察官5人が死亡しましたが?

Dさん(以下D):その時、たまたまグローズヌイにいました。大きな爆発音が聞こえたけど、「男が外に出たら危ない、すぐ拉致される」と言われて、家の中にずっといました。
 カディロフ首長の誕生日で、いろいろな有名人を呼んでイベントをやっていました。クリミアから政治家も来ていましたね。その最中の自爆攻撃だから、カディロフはかなり恥をかかされたわけですが、「祭りは祭りだ」とか言って、続けました。その後花火の打ち上げもあったみたいだけど、さすがに警官も殺されているのに、それはないだろうと、警察関係の人たちは怒ってましたね。

CN:チェチェンでのビジネスの可能性はありますか?

D:チェチェンと今の国の間でビジネスができないかと、いつも考えながら行くんですが、人は消されたりするし、とても生活できないから難民化して出ていくし、政府の腐敗はひどい、とてもこれじゃ仕事になりそうにありません。今は、ただ家族や親戚の顔を見に行っているだけです。
 外からチェチェンに出入りしている僕みたいな人間は、いつもマークされてます。比較的カネも持っているし、カディロフにとって危険人物ではないかどうかが気になるんです。反抗しそうだったら、カネを取り上げたり、殺したりします。

CN:「イスラム国」にチェチェン人がいることが時々話題になりますが……

D:ヒゲを生やしたり、ヒジャーブを被っているだけで、イスラム過激派とみなされて逮捕されます。こんなひどい状態だから、人がどんどんトルコとかヨーロッパに逃げています。シリアでイスラム国(IS)に入っているチェチェン人は1,500人くらいいるとか。この人たちはほとんどヨーロッパ経由ですね。イスラム国の上の方の人たちが言っていることは正しいような気がするけど、実際に下の方の人がやっていることを見ると、ちょっとどう言っていいのか……。
 どちらにしても、シリアのチェチェン人たちからのビデオも結構ネット経由でチェチェンでも流通しているし、カディロフとしては、そういうところで訓練したチェチェン人がチェチェンに帰ってきて、反抗することを真剣に恐れているようです。

CN:最近、気になったことは?

D:今回、すごく面白いと思った話なんですが、リズワンなんとかさんという歴史家が、『チェチェン史』という本を書いて、出版したそうです。その本には、今のチェチェンのことも書いてあって、「今、巨額のお金をかけてスキー場などのリゾート施設や、グラウンド、音楽ホールが作られているが、この投資の本当の目的は、チェチェンのためではなく、全部揃った頃にチェチェン人を追い出して、ユダヤ人に入植させるためだ」という意味のことが書いてあったみたいなんです。
(中略)
 どちらにしても、この話は「いかにもありそう!」という感じでチェチェン人に受け止められてますよ。ユダヤ人? 昔はいましたよ。ドゥダーエフが政権を取る前は、グローズヌイの街にユダヤ人の町もあって、それが今のグローズヌイ・シティのすぐ近くです。このやり方、巧妙だと思いませんか? カディロフみたいな、バカなチェチェン人にたっぷりカネをやって、内戦で社会をめちゃくちゃにして、チェチェン人を追い出しながらも、その国自体は住みよいように改良する。時期をみて乗っ取る……。

CN:そういう公共事業もカディロフがらみですか。

D:もちろん。カディロフは相変わらずひどいですよ。ものすごいカネを持ってる。モスクワからくる復興資金の40%は、そのままモスクワに戻っていくんだけど、そこからリベートを取っていて、自分では何のビジネスも出来ないけど、金はたまる一方です。
 チェチェン中で働く人の給料からピンはねをしていて、自分の基金に入れさせます。カネをね、ルーブルとかドルじゃなくて、「トン」単位で計算して取引してる。それをドバイに空輸して、預金する。これもロシア政府が黙認しています。何にも使い道がないので、カディロフの取り巻きたちはフランスのニースに
行って超高級外車だとか、クルーザーを乗り回して遊んでます。
 チェチェンでは、カディロフツィ(カディロフ一派)が道を走るときには、何時間も前から道が塞がれています。本当に人の命が軽いから、カディロフツィの車に道を譲らなかったり、万が一かすったりしたら、すぐ銃で撃たれます。

(中略)

CN:虐待の情報はありますか?

D:拉致されると、ひどい虐待に遭います。家族を目の前でレイプすると脅されることも多いし、卑猥な言葉を浴びせられて屈服させられることを、チェチェン人は何より嫌うんです。ある知り合いは「もう何もかも嫌だ」と言って、ジャケットの下に銃を隠して歩いていました。自殺用? 違います。チェチェン人は自殺だけは絶対にしません。街でカディロフツィとトラブルになったら、それを乱射して、できるだけ相手を殺してから、自分も撃たれるつもりなんですよ。
 グローズヌイで、知り合いの2人兄弟が、家の前でちょっとカディロフツィとトラブルを起こしただけで車のトランクに押し込められて、行方不明になってしまったんです。3,4日してから、また家の前で放り出されているのが見つかったんですが、その時には大ケガをしていました。

(後略)

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チェチェンを追ってもう何年も経つ。敬愛していたアンナを殺されて、信じていい情報が何もないように感じられた時期もあったが、このメールマガジンのように、今なおチェチェンをウォッチングして伝えてくれる媒体がある。チェチェン人として誇り高く生きようとしている人びとを支援する動きは絶えない。頭が下がる。

それはそれとして、今回のDさんの談話を読んでいて、たいへん近しいものを感じたのだが……これはとてもよくない兆候だな?

私は、チェチェンでの出来事はなかなか日本人には理解しがたいものであり、ロシアという大国の底知れない不気味な力の、氷山の一角ほども実感できない現状では日本人が何をわーわー騒いでも何の力にもならないだろうと思っていたし、今でも思う。だから、アンナの本に書いてあること以上の情報を探し求めようとも思わなかった。
ふつうの人びと、町や、村で、働いて給料を得ている労働者、その家族、子どもたち、乳飲み子を抱える母親、息子や娘の世話になって余生を送る老人たち、そういう人たちが困窮して難民化し四方八方の国々へ逃げている。故郷ではもはやふつうには生きていけないのだ。いきさつはどうあれ、ふつうの人びとがそんな目に遭っているという事実だけでじゅうぶんだった。大国の利害が絡んでいるとか、スパイが暗躍しているとか、それはそうだとしても、傷つき、困窮しているのはふつうの人びとなのだ。
マララさんじゃないけど、子どもには学校が必要だ、学びの場所、子どもどうしが接触しともに育つ場所としての学校が。だからチェチェン支援活動の中でも、子どもたちの学びを支援している団体に協力するというかたちで、チェチェンとチェチェン人を見つめてきたのだった。インターネットを介して見たチェチェンのあどけない子どもたちは、無事でいればもうとっくに成人して、理不尽な場所に生をうけたことを呪っているかもしれないが、それでも顔を上げて希望を失わず、地球上のどこかに生きる甲斐を見いだして、地に足つけて生き延びているに違いない。

……と、このようなことは、地球の反対側で起こっている辛く悲しい出来事で、私たちにはなかなか、直接寄与することはできないし、また自分のこととして実感を持って見聞きし、語ることは難しいと思っていた。

だがDさんのいう「バカなカディロフ」を「アホなアベシンゾー」と置き換えたら、一気に、日本の近未来を語るインタビューに変身した。
アホなアベシンゾー政権は、まさに米国の傀儡政権なのだと言ってしまったら、話はとてもわかりやすくなる。
日本は米国に従属している、とか、日本は米国の植民地状態だ、という言いかたは、形式上はそうではないことになっている以上、ある種の人びとには腑に落ちない表現に違いない。でも、傀儡政権なら、簡単だ。辞書に載ってる意味のとおり。
そう、要は傀儡政権なのよ。今、アホのアベシンゾーが傀儡政権を始めたわけじゃない。第二次大戦後、日本はずっと米国の傀儡政権だった。でもそうじゃない振りをしてきたし、表向きはそうじゃないように振る舞うことを、米国も、日本にある意味一目置いて認めていたんだけれど、数年前から傀儡政権であることを恥だともなんとも思わない世代がボケナスジミントーに台頭してきて、いままさに傀儡政権万歳と言い兼ねない史上最低のドアホウが政権に居座っている。とそういうことである。

チェチェンの惨状は、日本の未来を映している。
バカをいいなさい、そんな、チェチェンのような小国と一緒にしてはいけないよ、日本がこんなことになるわけはないよ。だなんて、断言できるのか、この国の良心ある市民は?

「こんなこと」にならないように、できることはある。

思考し、熟考することだ。真剣に。