Au secour! ― 2011/04/04 21:20:38
「汚染・6日に日本全土に拡がる怖れ」と題してとても恐ろしいことが書いてあった。
「ドイツの気象サービス及びノルウェーの発表では、4月5日から7日にかけて、福島原発からの風が一旦、南に行き、四国・九州にまで南下し、そこからさらに偏西風で日本列島を縦断して、北海道に達すると予想されています。」
――と書き出して、ドイツ、ノルウエー製の図を貼っておられる。続きは下記で。
http://takedanet.com/2011/04/47_afa2.html
大げさなことを書いて国民の不安を煽るな、という苦情というか怒りというか脅しというか、そんなメールや電話が来るそうだ。余計なことをする暇なやつがいるもんだな、と思う。武田先生は一研究者として見解を述べているに過ぎない。その態度は誠実だと思う。武田先生が批判している他大学の大先生たち、原子力保安院のエライ人たちも、ある意味、同じである。発言する人が、国民の将来的な健康を最重要視してものを言うか、とりあえず目先の保身を第一に考えるか、などどこに力点を置くかで話しかたはずいぶん変わってくる。テレビで一過性の音声として聞くのと書かれたものを読むのとでは受け取りかたも異なる。何を、誰を信用するのかは私たちひとりひとりが判断しなくてはならない。情報過多時代においては、受け手の受信感度と知的レベルとが高くないと道を誤る。……ということはわかっているけど、原発すなわち放射能汚染の問題は、「受信感度と知的レベルと」を高くして、「私たちひとりひとりが判断」するにはあまりに重すぎる。突然突きつけられた事態を自分のこととして、身近な問題として認識するには私たちの想像力は乏しすぎる。私たちはいつだって、社会的弱者をいたわろう、差別をなくそう、ゴミを減らそう、分別収集に協力しよう、地球環境保護のためにCO2を減らそう、リサイクル、リユースしよう……と掛け声をかけあい、それはひどく遅いペースではあるけれども、日本の社会はたしかに少しずつ成熟した社会へと歩みを進めてきた。でも、壊れた原発は、そうしたひとりひとりの小さな努力や心がけの賜物を一気に無にしてしまう。放射能汚染に見舞われたら、ゴミを出す出さない以前の問題だ。無農薬野菜とか有機栽培とかも意味をなさない。農薬や化学肥料まみれの野菜だって放射線よりマシだ。そんなふうに考えて、その被曝量を検証しないで騒ぎ立てる人たちが出てくるのも目に見えている。
それに対して騒がないでと「冷静」を呼びかけることは間違いではなくて、実際、程度によっては騒ぐ必要はまったくないのである、大人は。何十年も不節制をしながら生きてきた大人は、明日癌で死ぬことになっても、その原因を、酒かタバコか脂肪の摂りすぎか、あるいは被曝か、特定しようなんて無駄な作業だからだ。
だが子どもは違う。武田先生も繰り返し述べておられるが、心配ないとされるレベルでも、10代以下の子どもたちと妊婦さんは徹底的に放射線から避難してほしい。今すぐ病気になるわけではない。5年後、10年後に、じわじわと、「あのとき放射線の影響を受けた」ことが実験結果として証明されるかのように、健康被害が顕著になってくるのだ。ドイツやノルウェーの風向き予測が当たるとしたら、あさってから3日間ほど関西にも放射性物質が飛散するわけだ。世の中、入学・入園、始業式まっさかりである。
ノンフィクションライターの久田恵さんが、根津八紘氏と野田聖子氏との共著『この国で産むということ』を評した欄で述べておられた。いまさら「少子化問題」なんて言うな、と。
ここ30~40年ほどの間、この国では女性に対しては子どもを産まないように産まないようにと仕向けてきた。産めよ増やせよとやいやいゆってたのから180度方向転換。男性には企業戦士たることをもてはやし、女性には男性同様に外に出て働くことを称揚し、なのに結婚や出産に際したら仕事を辞めなくてはならないような職場環境はそのままで、それでも生まれた子どもは各家庭で責任もって育ててねと突き放してきた。
つまり自民党政権は丹念に丹念に何十年もかけて、「少子化問題」を練り上げて完成させたのである。そんな「大作品」なんて、鳴り物みたいな付け焼き刃の「子ども手当」程度では突き崩せない。それに、ロミジュリのキャピュレット家とモンタギュ家に合併せいというが如しの「幼保一体化政策」なんて100年待って実現したところで、出生率を上昇させることはできないだろう。また、子ども手当の前にあった児童手当は、かつては(たしか)小学校3年生までしか支給されなかった。それを6年生までに延長したのは悪くはなかったけど、そんな少額を撒き散らすよりも、義務教育期間の授業料や公的施設(競技場や会館・ホールなど)使用料をいっさい無料にするなどしてくれるほうがよほどよかったし、子ども手当に関する議論でも同じことが言われている。さらに、母子家庭に支給される児童扶養手当を、自民党さんは削減することに躍起になってきた、独り者は子どもを持つなといわんばかりに。(この話を続けると論点が変わってしまうので今はしないけど)
だが、問題の本質は、子どもを一定期間入れとく器やそれにかかる費用ではない。若い人たちが、自分も成長すれば恋愛して伴侶を見つけて子どもを産み育てるのだ、という青写真を描けない、描くような教育をなされていないことが問題なのである。成長してから、社会に出ても、周囲は髪振り乱しぼさぼさ頭で残業に明け暮れる仕事魔しかいない。恋愛対象もいなければ、健全に恋愛している男女も見受けられない。
子どもが好き、だから保育士になるという若者はいても、恋人がいる、恋人がほしい、結婚願望がある、という若者たちが極端に減っている。草食とかゆってもてはやしてる場合ではない。偏向な男女平等を謳い続けてきて、異性を視る目が養われなくなったといったらそれは間違いだろうか? 最近の男子はスカートめくりをしないのである。
この現状はひとえに、この国をこんなふうに誘導してきた政治家・官僚・学者といった指導層と、それを放置してきた大人の責任である。
こんな世の中なのに。
なのに原発が壊れた。
数年後、一定の確率で、現在の子どもたちの中の何人かが癌で亡くなる。
生まれてくる子どもたちの健康にも、一定の確率で、影響がある。
現在の子どもたちが出産年齢に達したときに、一定の確率で、害が顕在化する。
ますます、子どもを持つなんて、育てるなんて考えにくくなる。
どうしよう、日本。
コメント
_ 儚い預言者 ― 2011/04/05 03:56:13
_ midi ― 2011/04/05 20:58:43
たびたびのご来訪ありがとうございます。
ほったらかしですみません。
いくつか前のエントリに「原発くん」のアニメのっけましたが(もう埋め込み拒否になっちゃいましたが)、「オムツしてるから大丈夫」って言ってたのに、漏れてしまいました。
東電ばっか責めてますけど、原子力保安院はじめ国の原子力に関わっている連中はどこに隠れているんでしょう。
原発なんて、つくったときから一企業の責任範囲を超えているのに。
得意先の担当者が言ってたんですが:
「東電の記者会見、見ました? しゃべってる人の後ろで、頭ぼりぼりかいて眠そうな顔してるんですよ。ああだるいよー早く終わんねーかなーって顔して。私、東電許せませんっ」
お怒りはごもっとも(笑)。私はその会見、見ていませんが、たぶん彼らは「何で俺たちばっか悪者なわけ?やってらんねー」なんて頭のどこかで思ってると思います。
私たちは東電だけが悪者ではないことを理屈では知っていますが、とりあえずあんたらが何とかせにゃ誰がすんのよ自覚もたんかい、って、お尻引っ叩きたくなります。
_ 儚い預言者 ― 2011/04/05 23:26:17
特定するのは、簡単だけれども、それは自分の世界からの逃避、責任回避にも繋がっている。
本当に、本当に世界は自分自身の心です。

もう、少々のことではどうにも出来ないだろう。それほど破滅は近い。
とうすればいいか、という次元はとうに過ぎている。後はどう破滅に向き合うかだけ。
残るのは逆説的に個人の問題だけ。もし世界と個人が一対一ということを、知覚まで掘り下げることが出来れば、世界は今日にでも変わることが出来る。外なることと内なることの邂逅である。
奇跡に大小はない、ということの本当の理解である。
愛と光があなたにいつもありますように。