スコホッテンなジャックの絵 ― 2007/04/06 20:30:23
(デンマーク民話)
ジャック・ケント 作 まえざわあきえ 訳
朔北社(2001年)
猫の本が続くんだけど、こちらは絵本。
発刊直後に入手して以来、大のお気に入り。すっとぼけた話にすっとぼけた絵がマッチして、絶妙のバランス。短いながら、一字一句訳者と編集者が議論を重ねて仕上げたという訳文が、内容と絵を見事に表現して素晴しいのである。
眺めて感動したり、ストーリーの面白さに唸るような類の絵本ではない。
桃から桃太郎が生まれるはずはないのといっしょで、猫がそんなに何でもかんでも食うわけないのだが、猫は見るもの何でも「たべてしまいました」なのである。
延々と続く「たべてしまいました」が妙に可笑しい。
小さな身体だったはずの猫が、どんどんふくらんでいく。
最後にきこりにたしなめられる。「そりゃあ だめだよ、ねこちゃんや」
途中、猫は「スコホッテンなんとか」をはじめとするけったいな名前の紳士たちを食べるのだが、これら人物名がこれまた話と絵にベストマッチでどうしようもなく可笑しい。
結構これらの名前をリピートするので、それもまた可笑しい。
リズムよく読んでやると、素直な子どもなら間違いなく「へーんなの~」といって笑うはず。いや、笑わなかったからといってその子が素直じゃないなんていうつもりはありませんけど。
でも本当に、読んでて笑える。聞いてて笑える。ほのぼのと、笑える。
ジャック・ケントさんはアメリカの絵本作家で、生涯に実に多くの絵本を手がけたそうだ。もともと漫画家だったというその絵は、柔らかい線に水彩とおぼしききれいな色遣いが優しくて、とぼけたユーモラスなお話にぴったりのタッチ。といって、個性的な画家の絵本があふれる昨今、決して目立つ存在ではない。むしろ地味なほうだろう。アート志向のお母様方はお選びにならないかもしれません。
でも、この絵は、本当に、とてもいい。
ジャック・ケントさんのほかの絵本も邦訳があるのでぜひ見て欲しい。スコホッテンな絵なのである。
猫でなくても、あまり大食いでないイメージの小動物なら成り立つ話だが、桃太郎が桃でなく苺やメロンでは成り立たないように、デンマークではこの話は猫に限るのだろう。青いガウンを着て寝そべる猫は、最初からあまり可愛げがない。デンマークの猫はどのように生活の歴史を重ね、人々と共存してきたのだろう。
気がつくと、我が家で猫を飼う前から猫の本は数多く読んできているわけだが、猫の描かれ方にも、当たり前だが人間と同じように、いろいろあるものだ。
猫から切り取る世界各国の生活文化を研究してみるのも面白そうだ。誰かやってないかな? 誰かやる気ないかな?
コメント
_ きのめ ― 2007/04/06 22:30:39
_ ろくこ ― 2007/04/07 18:46:48
ローマのカフェにねそべっていた日本ねこ(トラ?)
暑い暑い日差しと
冷たい紅茶と日陰でねそべるねこ
_ ちょーこ ― 2007/04/08 16:51:27
>ちょーこさん、どうです?
正直、猫そのものにあんまり興味ないしなあ……。うちの猫は可愛いけど。
ろくこさん
なんだか絵葉書になりそうですね、カフェの猫。
_ mukamuka72002 ― 2007/04/09 13:58:08
_ おさか ― 2007/04/09 20:59:59
私は猫飼えない身(以前のコメント参照)なので、逆に「猫を飼っている人」には一種の憧れを感じています。
飼わなくても猫と共に生きることはできるよなあ、と思いました。ちょっと希望♪
_ ちょーこ ― 2007/04/10 10:08:17
私も、書評欄とかで惹かれて手にした本は、まず「あとがき」とか最後の章とか読んじゃったりします。だいたいどんな本か予備知識あるからね。表紙や装訂に惹かれてその場で衝動買いした本は、いくら結末を知りたくなっても我慢して先回りせずに順序どおり読む。で、「なんでえ、見かけだおし!」なんて悪態ついたり。
ところで、どう思いました、猫の名前?また聞かせてください。
おさかさん
猫の飼えない気の毒なおさかさん、といいたいけれど、猫に限らず、小動物を飼う生活はよほどの覚悟が要るものなのだ、ということを飼うようになってからヒシヒシ感じている者としては、おすすめしません。飼えなくて、よかったかも。猫を通じて、私は知らなくてもいい世界を見て知ってしまい、また考えることが増えてしまったもんね。

>誰かやる気ないかな?
ちょーこさん、どうです?
各国のエピソードをネットで募集して、編集。
それに基づいて各国に取材旅行。
この企画、まずスポンサー探さなきゃ。