La fête!!! ― 2013/07/16 02:00:52

私たちのまちの場合、8月から6月の11か月間は、まさに「7月」という1か月間のために存在するといっても過言ではない。私たちにとってはそれほどこの祭りは重要である。私は山鉾町には住んでいないけれど、親が関わっていたこともあって、「祭りごと」は「我がこと」だというふうに体が覚えて育ったのである。7月は祭りに注力するので、男も女もそれはそれは忙しくなる。今のように、「働く人間」が「企業に勤めるサラリーマン」ばかりになるとは、祭りの側では想像していなかったであろう。ふつう、私たちのまちで働く人々といえば職人か自営の商人(あきんど)がほとんどであったので、自分の裁量で7月は祭りに重心を移せたのである。しかし、世はサラリーマン全盛であり、しかも雇う側は京都ゆかりの企業ではなかったりするので、祭りだから休む、なんてことが通らなくなっちゃったのである。私が勤め始めた頃、「お祭りやのに仕事してたら笑われるえ」と母は言ったもんだ。いや、そやけどあたしの勤務先は大阪やから、その話、通らへんって、とよく笑ったものだ。その後地元京都に転職しても、祇園祭だから休む、という考えは企業の側にも従業員の側にもまるでなかった。
先日、地元紙の祭り特集の連載記事に嬉しい話を見つけた。ある鉾の囃子方の男性は東京勤務だが、祭りのために休暇を取って地元へ帰ってきている。祇園祭のたびに帰省。この生活をもう20年続けているという。男性の年齢からして、その習慣は学生時代からのようだ。山鉾の囃子方は通常幼い頃から入門し、まずは鉦方(かねかた)から始め、笛方または太鼓方へと「出世」する。記事の男性はいま笛方である。幼少時から囃子方に入り、受験勉強のため休んだとき以外は欠かさず参加してきた。進学、就職、転職、転勤を経てきたが、祇園祭のこの時期に帰れることが勤労生活においてもプライオリティだという。
ある種の業種では夏の繁忙期でもあろうこの時期に従業員を帰省させる気概のある企業があって嬉しいと同時に、そこまで祭りに対して愛と使命感をもっている人のいることも嬉しい。多数派からみれば変人に近い(ごめんなさいね)、こんな男性のような「当事者」たちが祭りを支えている。
今年も凄く盛況だ。
事故などありませんように。
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まつりごと、と入力し変換キーを叩くとまず「政」と変換される。そうなんだよねーマツリゴトなんだよねー。
あいつ、変人やで。そういわれるくらい偏向した情熱を政治に傾ける、そんな政治家がいないもんかい。