ニャンてこった再び、の巻2007/10/16 20:31:12

『3びきねこさんとさくらんぼさん』
柳生まち子 作
月刊予約絵本「こどものとも」543号(2001年6月)
福音館書店


我が家のネコさまだが、膀胱炎を再発あそばされたのでござる。
9月に入って急に朝夕冷え込んだのが原因とな。
もうこれは体質としかいいようがありません、とはかかりつけ医の言。
まめに尿検査をして療養フードでコントロールしましょうとの仰せでござる。

尿結石と膀胱炎は同じではないけど、どちらかになれば他方も併発するという。
冬から春にかけて発症した膀胱炎をひきずって、なかなか尿中のストルバイトがなくならなくて、pHもアルカリに傾きがちで、すっきりしないねえ、といいつつ夏を迎え、あまりの暑さにネコさまの食欲も減退していたようなのであったが、少し涼しくなりまたよく食べるようになった頃、9月に入って定期健診だとかなんとかいって尿検査を奨められ診てもらったら、やはりアルカリが高かった。
いけませんねえ、1週間後もう一度検査しましょう、といわれたけどその1週間を待たずに、2日後、ネコさまの様子がおかしくなった。どうもこれは冬のときと同じような頻尿行動である。で、検査してもらったら案の定。その翌日には猫砂が赤くなり、ああこれは血尿だと思われたので再々検査。
療養フードに速攻で切り替え、お薬をいただいた。
1週間後。頻尿行動も血の色もなくなったと思ったけど、顕微鏡で見るとまだ血尿だって。
さらに1週間分のお薬をもらった。そして1週間経過した。再び再びクリニックへ行かなきゃならないが、採尿を忘れちゃうのである。

なぜなら我が家のネコさま、いまやすっかり足取りも軽く、気候がよい日は窓辺で昼寝、すこおし寒い日は誰かの寝室の毛布の上で昼寝、家族みんながいるときは食器棚の上で昼寝とステップあざやかなのでござる。
かかりつけ医によれば、膀胱炎にしろ何にしろ、具合の悪いときの猫はやたらと啼き、やたらと動き回って落ち着きがないそうである。
寝てばかりいるのは健康らしい。とりあえず若い猫の場合。
しかし我が家のネコさま。
私の顔を見ればカエルのミドリと遊びたいとニャーニャーねだり、ばあちゃんの顔を見ればご飯ちょうだいとニャゴニャゴねだり、娘の顔を見ればミュウミュウと追い回しくっついて離れない(座り心地がよいらしい)。
と、あまりにお元気であらせられるので、もしやまだ完治はされていないのかも知れぬ。

明日こそ、検尿、もって行かなきゃのう、と心を決する毎日である。

ところで、『3びきねこさんとさくらんぼさん』。
娘が通っていた保育園では、この月刊絵本を強制的に購入させられていたのだが、私にとってはとても楽しみなことであった。時にはイマイチの絵本もあるけど、さすがは福音館書店というべきか、あまりハズレな絵本はなかったように思う。
この月刊絵本から、(おそらく読者の反響などを考慮して)単行本化される絵本があるが、『3びきねこさんとさくらんぼさん』は残念ながらなっていないようである。
単行本化されないままの絵本はけっして少なくない。
であるからして、購読していた時期の、それらいくつかの絵本が単行本化したらしたで嬉しいが、しなかったらしなかったで希少価値があるのでそれもまた嬉しいのである。
柳生さんは『3びきねこさん』のシリーズを4冊、月刊「こどものとも」から出していて、うちシリーズ3作目が単行本化されたそうである。それはそれで、めでたいことである。

春風に乗ってやってきたかのような、とってもキュートなお姉さんねこの「さくらんぼさん」がお洒落で可愛い。さくらんぼさんは編み上げの靴を履いて、3びきねこさんのうちの1匹、「きい」君に赤い靴を貸し、スキップを教えてやる。ほかの2匹は美人のさくらんぼさんに見とれてボーッ。実はさくらんぼさんは「靴屋さん」だった。春の野原に100足の靴を並べて動物たちに勧めるのを、3びきねこさんたちはお手伝いにいそしむ。

これが配本された当時、私たちの頭には本物の猫がいなかったので、猫も、その友達として描かれるブタやイタチやキツネと同様、想像の動物でしかなかった。
今、こういった猫を描いた絵本や物語に接するとき、どうしてもウチのネコさまに思いが行き、比較してしまう。べつに悪いことでもないだろうが、あまりいいことでもないように思う。『3びきねこさん』の猫たちはあまりに擬人化されているので、多少なりともその生態を知っていたら違和感を覚えるんじゃないか、などと、絵本世代である小さな小さな子どもたちの側からすればきっと「よけいなお世話だよ」的な理屈を、ついこねたくなるのである。

私はこの『3びきねこさん』の絵は大好きである。全然よけいな力の入ってない、素直な筆捌き。色の使い方とか、見習いたいのである、次回の手づくり絵本のために。