Cher Monsieur ― 2012/06/15 13:48:46
大飯原発3・4号の再稼働を認めないでください。
福井県が、長きにわたって危険な原子力発電所を抱え、関西圏への電力供給を担ってくださいましたことに深く感謝申し上げます。叡智を結集され、弛みない研究・精査・改善を続けてこられた賜物と存じ、敬意を表します。
ありがとうございました。
私たちは過ぎるほどに、その恩恵に与りました。
もう、十分です。
もう、原子力発電所の営業・稼動を止めてください。
長期間、存分に働いてくださいました。このうえはどうか、廃炉への準備を進めてください。
発電所が安全な施設かどうかが問題なのでは、もはやありません。
原子力発電所というものの存在を、もう許してはならないのです。
命の源たる大地と海を、原発事故によって、地球規模で汚染してしまった私たち日本人には、既存の原子力施設を謹んでひとつずつ片づけていく以外に、地球上の生物に許してもらう道はないと考えます。
大飯原子力発電所が、廃炉への第一歩を踏み出してくださることを心から願ってやみません。
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美浜の会がメッセージを募集していたので、昨日……おとといだったっけ? とにかく、送った。
知事に目を通してもらえるとは思えないが、何事も、しないよりはマシ。
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常連客に支えられて小さなレストランを20年以上経営している小百合が、こないだ電話で「再稼働の必要性」を切々と訴えた。私にゆーてもしゃあないやん、なんだが、たしかに今、再稼働は必要、と口にすることはたいへん勇気がいる。あたりかまわずつぶやこうものなら、客商売の小百合には命取りだろう。もちろん小百合は脱原発派だ。しかし「15%の節電で、ウチの店もそうやけど、職場がたちまち立ちゆかんようになる人、多いねんで。ウチのお客さん、ほとんどウイークデーのランチかアフターファイブやのに、その人らが仕事できんようになって店来てくれんようになったら、店で節電してどうたらこうたら、よりも、もっと大打撃なんや」と至極もっともなことをいう。もちろん、私はその小百合に対して、知事宛のメッセージのような「正論」は吐けない。目先の危機を乗り切ることを最優先させるのは商売人の常識であり、そのようにして生き抜いている自営のあきんどを大勢友達にもつ「甲斐性なし」の私は、彼らに敬意こそ抱くがけっして軽蔑などしないのである。
小百合はいう。「再稼働が必要」などとは口が裂けても「話題に出せへんねんなあ。お客さんの中には余裕で節電ライフ送ったはる人、やはるし、そんな人らに原発動かしてほしいとか、聞こえたらエライことやし」。その一方、「でもな、関電の営業部長さんなんか、めっちゃ余裕やで。再稼動できひんわけないさかい、停電の心配なんかおまへんでって、ヒソヒソ声でゆーてくれはる」そうだ。
脱原発を掲げた元首相も、官僚作文で詭弁を弄する現首相も、「しぶしぶ」容認した関西圏首長群も、きっと数年後には、シナリオどおりに踊らされたピエロたち、とフォトキャプションが付くのだろう。趣味の悪い安物の芝居小屋で配役をあてがわれていたに過ぎなかったと皆が振り返ってため息をつくのだろう。
原発の行く末については、「ムラ」がとうに決めている。
「なんでこの国はさ、この先10年くらいかけて少しずつ原発による発電量を減らしていきます、とかそういう計画的なことができんのやろ?」
「数か月単位でソーリダイジンがチェンジする国やしな」
「福島のときも、今すぐ健康被害はない、ばっかりゆーて、でも十年後はわかりませんからすぐに避難してください、とはとうとう誰もいわへんかった」
「そのときになって十年前の発言の責任とれとか言われんのがイヤなんやろ。十年後、何も起こらへんかもしれんしさ」
そう、何も起こらないかもしれないのだ。
もしかしたらもう二度と、地殻変動なんか起きなくて、気候変動も収まって、天災は来ないかもしれない。東電の原発事故を原因とする癌の発症も、ないかもしれないのだ。今大騒ぎしていることすべては杞憂に過ぎないかもしれないのだ。
でも、やっぱり起こるかもしれないのである。
庶民はそんな二つの「かもしれない」の間で右往左往させられている。
かもしれない。だから安全性を保証して。
かもしれない。だから経済活動を止めないで。
だが「ムラ」は国論を二分している現状などに関心はない。彼らにとって原発の是非など空論の極みだ。
「ムラ」=自民党、讀賣、電通、電力業界。私たちは彼らに好き放題させたままあまりに長期間放置しすぎた。このツケは後続数世代にまでまわるだろう。ママゴトやってる場合じゃないが、私たちの目の黒いうちはママゴトしかすることがないのだろうな、と暗澹たる諦念に襲われるのである。