Bonne Année 2012!2012/01/01 23:58:40



新しい歳が明け、はや1月1日も終わろうとしている。
謹賀新年。
みなさん、佳いお正月を過ごされたこととお喜び申し上げる。

2011年はしんどい年であった。あまりに多くを失い、正月だの新年どころではない人々が、これほど多い年明けもない。終戦以来ではないか。
だからといって来る年に罪はない。罪なき新年を迎える私たちにもまた罪はない。思うところはそれぞれある。それぞれに靴ひもを結び直して歩き始めればよいのである。
第一歩に、喝采。

娘と私は某お稲荷さん、正式名称をいわずともそれがどこだかわかってしまう、というチョーメジャーなビッグネームへ初詣にでかけた。どうしよどうしよ、このへんで引き返す? お母さんしんどかったらやめてもいいよ、うーんもうちょっと頑張ってみるわ、とかなんとかゆってるうちに山頂までいってしまい、いま、足腰背中いっぱいに筋肉痛の兆しがびんびんきているところである。明日動けないかも。ううう。

年の始めからこんなに歩いたのは初めてのことである(笑)。へーきな顔してずんずん登る娘の横でひいひいぜえぜえいいながらついていく私。娘の足の出しかたで、私に合わせてペースをセーヴしているのがわかる。ちきしょー悔しいのう年はとりたくないのう。なんて言ってると私などよりはるかに年配のかたが颯爽と横をすり抜けたり、爽快な表情で降りてこられたりするのに出会う。「お母さん、運動不足すぎ。やばすぎ」とは本日のレジュメ by 娘。

愛する皆様へ。
本年のご多幸をお祈りいたします。

C'est pas facile, les histoires des ados...!!!2012/01/05 19:48:04


『きみが見つける物語 ティーンエイジ・レボリューション』
アンソロジー(椰月美智子、あさのあつこ、魚住直子、角田光代、笹生陽子、森絵都 著)
角川書店(2010年)


仕事始めだった……。
ぜんぜんアタマが仕事モードにならないのなんのって……。
こんな新年は初めてだぞ。毎年、雑煮やらカルタ取りやらDVD鑑賞やら深夜映画やらでどろどろぬーぼーぐでんぐでんになったアタマも、しゃきっとするのにさ。歳かあ。ちきしょー。

若さがうらやましいなっ。
あの頃にはもう戻れないのだ。

なかなかの秀作を集めた「きみが見つける物語」シリーズ、紹介する本書は文庫じゃなくて単行本。売れっ子さんたちがずらり。きりきりきゅんきゅんの10代マインドを描いてみせる。私は魚住直子に惹かれて借りたんだけど、んー、本書への収録作品はそれほど好きではなかったな。月並みな評価かもしれないが、角田さんと森さんが突き出ているかな。で、この中でいちばん冴えないのはあさのさんだ。あさの作品はもともとあまり好きではない。何だったか超ブレイクした長編を手にとって、書き出しが違和感あってすぐ閉じたのを覚えている。もちろん、読了したのもあるが、いずれも、じゃ次行ってみよー、みたいな勢いを保てない。当分読みたくない感じ。本書収録作品はどれも短編だが、それぞれ著者の個性はよく出ている。本音を言うと森さんの作品もあまり好きではない。面白くて一気に読んでしまうのだが、的を射すぎているというと変な表現だけど、青春のツボをつかみすぎているというのか、もう少し外してくれたほうが(笑)オバサンは読みやすい。だーーーーっと読んじゃうわりに、読後感がよろしくない。そっか?そんなもんか?そう終わっていいのか?みたいな。「17レボリューション」も大変面白い。切り口も展開もさすがだ。だが最後はちんまりまとまってしまったな感が否めないのだが、それは過剰要求かもしれぬ。


「世界の果ての先」角田光代(初出:『野性時代』2005年7月号)
「薄桃色の一瞬に」あさのあつこ(初出:『野性時代』2005年7月号)
「電話かかってこないかな」笹生陽子(初出:『野性時代』2005年7月号)
「赤土を爆走」魚住直子(初出:『野性時代』2006年10月号)
「十九の頃」椰月美智子(初出:『Feel Love』2007年vol.1、「19、はたち」を改題)
「17レボリューション」森絵都(初出:『野性時代』2006年4月号)


で、何が好きだったかというと「十九の頃」なのだ。
ヒロインが十九の頃を思い出して語る。突飛なストーリーではない。物語の展開や結末も見える。だが、ヒロインの語りがどことなく舌足らずで、読み手はよそ見せずに聞き耳を立てなくてはならない。そのあたりが、タンタンターン!と展開していく森作品とちょっと(かなり)違う。
私はこういう、行間がしっとり湿っている物語が好きだ。たとえば、岩瀬成子さんの筆致がそうなのだけど、じんわりと、読み手の指先から心にかけて物語の色が染みていくような、そういう湿り気を含んだエクリチュール。
YAというジャンルに入る文学はおしなべて、本書収録の「電話かかってこないかな」「赤土を爆走」「17レボリューション」のように鋭さとテンポよさと意外性を持ち合わせていることが多く、それゆえに若者に受けているのが事実なのだろう。
本書の中では、角田さんの「世界の果ての先」が、少しだけしっとり感を醸し出している。だが、この作品のよさはそうしたしっとり感とは別のところにある。したがって、私が好きな岩瀬さん作品との共通点、といった言い草をするのは角田さんに失礼だろうな。それは椰月さんに対してもだが、この方の作品を本書で初めて読んで、他作品をまだ知らない。本作だけであれこれいえないが、本書の中では好感が持てた。

早いもので、娘の高校生活も10か月めに突入。親ばかりがあたふたしている間に気がつけば卒業、なんだろうな。高校時代、私は突然エリック・カルメンが好きだったが(そして卒業すると聴かなくなった)彼女が陶酔するのはなんだろう。何でもいいからそういう対象を持つがよろし、なんだが。