adieu C 2/2 ― 2009/05/29 12:18:35
老婆がよたよたと行ったあと、彼女はジャンを振り向き、いつもすれ違いますね、学校ですか、お仕事ですかと訊いた。あ、はい、仕事で学校です。……あ、その、フランス語教えてます、はい。彼女は、日本語がお上手ね、もう長いことお住まいなのねといった。きっといい先生ね。そういわれたあと、なぜかジャンは胸が苦しくなって、何かが突き上げてくるのを感じた。でも、もう終わりなんです今週で、ぼく、日本からフランスに帰るので……。
あらせっかくお喋りできたのに残念。そう微笑んで彼女は自転車にまたがって行こうとした。一瞬のためらいののちジャンは、アトンデ!と叫んでいた。キキッとブレーキ音がして彼女が振り返る。待ってください、えっと嘘です、今の。あの、ぼく、明日もここ通ります、これからもずっと。彼女は訳がわからないといった表情を見せたあと、そう、じゃアドゥマンとさっきと同じ微笑みを見せて走り去った。ジャンはその場所に立ちすくみ、今朝の授業サボっちゃおうかな、なんて考えもよぎったが、スィコンモワともぐもぐつぶやいたあと、よっしゃあ!と今度は日本語で大声を出し、力いっぱいペダルを踏んだ。
コメント
_ ヴァッキーノ ― 2009/06/14 14:32:24
_ midi ― 2009/06/15 05:31:46
なんだかわけわからない感想(笑)ありがとー。
>フランスのお話って、冷めてるんですよね、タイトルのつけ方とか。
>1、2、3
>みたいな
って、たとえば、どれ?
ヴァッキーノです。
今朝は、ほぼ徹夜でした。
ブログタイトルを作っていたもんで(妻が)
そんなわけで、チェチェンじゃない方にコメントしてしまいますけど、いいですか?
文章塾で議論を呼んだあの作品は、ちょーこさんのだったんですね!(わざとらしい驚き)
>アトンデ!
なんて言われたら、ボクは「あとで!」って聞こえると思うんですけど、咳をしてたら「アネトン!」って聞こえるかもしれません。
と、こんななんだかわけのわからない感想を残しつつ
・・・・・・よっしゃあ!と今度は日本語で大声を出し、力いっぱいウンコを踏んだ。
フランスのお話って、冷めてるんですよね、タイトルのつけ方とか。
1、2、3
みたいな
で、会話に「 」がない。
これが、いいんですよ。
装丁もシンプル。
表紙のタイトルの字が小さくって。
薄めの書籍を開くと、文字がビッシリ。
かっこいいなあ。