新しいシネマアピエです ― 2010/05/23 00:46:02

縁あってずっと寄稿しているシネマアピエ。でも、正直言うと毎号の「お題」にかなり四苦八苦している。
私は本が大好きだけど小説を知らないし、三度の飯より映画じゃっなどと気合いが入っていた時期も、観る映画の偏りかたは今思うと凄かった。だから誰でも知っている映画や俳優とかをあんまり知らないのである。
今号、ミステリー特集である第6号の編集後記で編集長殿は「河原町二条でジュード・ロウを見た!」などと書いておられるのだが、読んだ私はええっほんとぉすごいなあいいないいな、とまずはミーハー面目躍如、しかし続いて「……でもジュード・ロウって誰?」というありさまである。
「お母さん、把瑠都って相撲界のなんとかって呼ばれたはんねん。えっと、誰やっけー? 名前ど忘れした。外国のイケメン俳優、知らん?」
「んんーと、相撲界のハリソン君?」
「それ誰?」
「何ゆーてんの、スターウォーズのハン・ソロやん」
「ああ……そんなんいたなあ。もう顔忘れた。でももうおっちゃんやろ、その人。そんなんと違う」
「……違うやろな。相撲界のシュワちゃん、なわけないなあ。相撲界の、嫌いやけどアランドロン、とか今出てくるわけないやんな。ジェラール・フィリップもありえへんし。相撲界のジェームス・ディーン。あかん、死んだ人しか出てきいひん」
「え、今出てきた名前の人、みんな死んでんの?」
「みんなとちゃう、生きてる人もいる」
「えっとぉー誰やったかなあ。アメリカの、誰でも知ってる人気のある人」
「さなぎもその俳優さん好きなん?」
「ウチは名前しか知らん。顔、わからへん」
「ほな把瑠都に似てるかどうかはわからへんねんな」
「似てるから、と違て、かっこええからそう言われてんねん」
「ジョニーデップ、ちゃうなあ」
「ジョニーデップやったら、ウチ顔知ってる」
「素顔は知らんやろ」
「たしかに」(笑)
「アメリカのチョー人気俳優かあ。キャメロンディアス、なわけないし」
「ああああああああおっもいだしたーーーっっっディカプリオっ」
「ああ、はいはい。ディカプリオ。なるほど。そやけど、どんな顔したはったっけ?」
「さあ。把瑠都みたいな顔なんちゃう?」
*
ミステリー映画について原稿くださいね、と連絡をいただいて初めて、そのジャンルの映画をほとんど観ていないことに気がついた。そりゃ過去に、多少は観たことはある。でもヒッチコック映画と横溝正史の推理小説を映画化したもんくらいである。というか、何をもってミステリーというジャンルに分類されるのかがわからないので、もしかして、他に観ているものがあったとしても、それがミステリーなのかわかっていないのである。そういうことに改めて気がつき、近所のレンタルショップのミステリー&ホラー棚を眺めて、観た記憶のあるものを確認していくことから始まった。フランス映画を題材に書きたかったが、目にタコができるほど(などという表現はないけれど)観た『死刑台のエレベーター』くらいしか思いつかなくて、あまりに古典的なのでやめとこ、と思いながら、それでも果敢に(というのは嘘でかなり絶望的かつ面倒くさいよもうっという気分になりながら)探していて発見したのが『黙秘』のDVDケース。おおおおっあったじゃんあったじゃん。これはいいネタを見つけたぞ。
「隠しても罵っても、語り合っても、母と娘」という題で寄せた拙稿、ご関心あればぜひお読みください。
入手方法などはこちらで。
http://apied.srv7.biz/apiebook/shop.html
映画作品『黙秘』について。
原題:DOLORES CLAIBORNE
製作年度:1995年
監督:テイラー・ハックフォード
上映時間:131分
キャスト:
ドローレス:キャシー・ベイツ
セリーナ:ジェニファー・ジェイソン・リー
※スティーヴン・キングの原作は『ドロレス・クレイボーン』のタイトルで文春文庫から。これも超おすすめ!