C'est pas vrai!!! ― 2011/08/25 22:07:43
トウシューズはどうなったん? とご心配くださるかたもいらっしゃるのではと思うので後日談。
「あのー予約していたシューズのことですが……」
「入荷予定は10月下旬です」
「へ? はい? 10月?」
「お待たせして申し訳ないですけどー」
「来月初めには舞台なんですよぉ」
「あら、たいへん(ウチの購入履歴を調べている様子)前にお買い上げくださったのはもうダメなんですねえ」
「ぐにょぐにょにやわらかくなっちゃって」
「同じ型番ので、ソールがワンランク硬いのでしたら2足在庫がありますけど」
「え、さらにまた硬いやつ?」
「はい。あ、前回ひとつレベルを上げはったとこなんですね」
「足にきつくないかなあ」
「お嬢さんの足ならいけるかもですよ。ほかには、スーパーソフトしかないですからね、ツーレベル下の柔らかいやつです」
「ほかに手はないですね……それ、硬いほう、ウチのために取り置きお願いします」
「10月下旬入荷やて」
「最悪」
「今履いてるやつより硬いソールのしかないって」
「それならあんの?」
「2足」
「うーん」
「どうする? それ買うて慣らすしか、今回は他に道はないと思うで」
「そやな。わかった。買うといて」
トウシューズのソール(底板)は、皮をニスで固めたもので、力がかかるともちろん、しなる。皮の固め方によって硬さをレベル分けしている。メーカーによって呼称はさまざまだが、S・M・H(ソフト、ミディアム、ハード)の3種類にSS(スーパーソフト)やSH(スーパーハード)が上下について5種類くらいである。インソールの初期の硬度やしなやかさはたいへん重要だが、それだけがトウシューズ選びのポイントではない。柔らかいのを履くのが初心者で、硬いのはプロ、というわけでもない。ボックスの深さやプラットフォームの形、大きさなど要検討事項は政権与党ほどではないが山のようにあるのである。
娘は、インソールは柔らかいほうが好きで、長い間ソフトタイプを購入してきたが、今の店に替えたとき、同じソフトという表記だがずいぶん硬いタイプを買ったのだった。それが思いのほかしっくりきたので、以来、この店で買っている。2、3度他店他メーカーも試したが、やはり現在の店がいい。この夏に買ったときソールの硬さレベルを上げたのだったが、慣れるのに時間はかからなかった。で、これはよいぞと追加注文をしたのだったが。
取り置いてもらっていた2足を引き取った。
「硬いというより、分厚いだけって感じもする」
手にとってソールを叩いてみた娘の感想。
「明日、履く?」
「うん」
うん、といわれたので夜更けまでかかってリボンとゴムを縫いつけた。やれやれ。衣裳のサイズ調整も、シューズのリボンつけも、高校生になったら自分でするしな! と高らかにヤツは私に約束したはずだったが、すっかり忘れ去ったようである。慣らし始めたハードタイプのシューズは「うん、いい感じ」だそうだ。では、軽やかな猫のステップを楽しみにしているぞなもし。