本を造りたい!2007/02/19 19:29:22

本を造りたいのである。
出版したいとか著者になりたいというのではなくて、製本をやってみたいのである。
「和綴じ」とか「ルリユール」とか、そういう言葉にはつい敏感に反応して、図書館でも、予定外のそういう手芸・工作ジャンルの本まで借りてしまう。

美大を志したのは、絵本作家になりたかったからだった。
絵本作家は挿絵画家とは違って、作品を本という立体でとらえる。本という形態をとったときに絵がどのように見え、いかなる視覚効果を生み出すかを考えて絵を描いたり造ったりする。本を構成するページ一葉一葉が、両面キャンバスという立体なのである。本造りは、とてもエキサイティングなのだ。絵本作家になるには、自身の絵を立体的にとらえることができなくてはならない。
だが、私は絵が下手だということが判明してその道は挫折せざるを得なくなった。

しかし、それでも美大生であった私が次に志したのは、エディトリアルデザイナーであった。本の版面の割付をしたり、装丁デザインをする仕事である。
本にはいくつも顔がある。表紙、裏表紙、背、見返し……本文誌面が纏うこれら衣装をあれこれ考えることの楽しいこと。さらに、誌面がたとえ文字ばかりであっても、書体、級数、余白のとり方、紙質、紙色、刷り色、そうしたことまでトータルに考えデザインする、エディトリアルデザイナー。
私の進む道はこれしかないではないか。
しかし、そうした職種を募集する会社が、なかった。

根性なしの私は、いちばん早く内定をくれた大手メーカーに入社してさっさとサラリーマンになり、製品開発部署でパッケージデザイナーとして働き始めたのであった。

だけど、だけど、本造りはいつも私の心の隅にあった。
自分の書いたもののコピーをまとめて綴じて、きれいな紙で表紙をつけて。そんな洒落たことをすすすっと手際よくやってしまう友人たちが、私の周りには結構いたりして、「あたしもやりたいよぉ~」気分は高鳴るばかりなのである。

夏休み、子どもが自由研究をまとめる際にも、子どものためというよりは自分が楽しみたくて、表紙はこうしようぜ、赤いいろがみで背を飾ろうな、なんて口出し手出しをした。
子どもには内緒で製本教室に通いたい、とひそかに調査中である。

私がやってみたいのは手作り本なんだけど、きちんとした出版物として印刷技術を利用して、自身で本を造ってらっしゃる方はたくさんいる。
「Apied(アピエ)」もそのひとつ。
ご縁があって、たびたび寄稿させていただいているが、表紙画のセンスや色彩のバランスのとてもよい、美しい本である。感心しながら、自分も参画していることを誇りに思う。

つい近頃、その「アピエ」の10号と姉妹誌の「シネマアピエ」2号が発行された。
本エントリーをお読みいただいたみなさん、よろしければ、下記をお訪ねください。
http://kyoto.cool.ne.jp/apied/

コメント

_ ぎんなん ― 2007/02/19 21:25:26

えっ、塾長の所に依頼が行ったのは、蝶子さんからの繋がりだったんだ。
塾長ブログのエントリーを読んで、Apiedのページはバックナンバーも見たのに……ある。それらしい名前が、あるー。うわぁー。
Cinema Apied vol.2 当然近くに置いていたりはしないので、既にメールで頼んじゃってます。もちろん蝶子さんも書いてますよねー? うわー。わくわく。手に取るのが楽しみ。

_ ぎんちゃんへ ありがとう! ― 2007/02/20 00:32:40

え、注文してくださったのですか、すでに? わーお、さすがライダー仲間だけのことはあるぜい。「シネマ」は1も2も書いてるよーん。ありがとねーアイラブユー&ジュテーム&ミアモーレェェェ

_ おさか ― 2007/02/20 09:12:42

!え!確かにこの特集は・・・と思ったらあるうう。
これ、手に入れるのってメール出せばいいの??
私もほしいーーー

_ おさっちぃへ よろしく! ― 2007/02/20 09:57:55

そうそう、メール出してあげてください。sizu……で始まるアドレスの記載がトップページの下のほうにあります。10号は、おすすめですよ、ほんとに。
よろしくお願いします!

_ おさか ― 2007/02/20 12:13:46

てへへ、送っちゃったメール。
楽しみ♪

トラックバック