彼はナマズのミュージシャン♪ ― 2007/06/28 09:55:33
私は携帯電話を持ち始めてそろそろ4年だ。4年というのは、長くない。私の年代の人々はもっと早くから持っていた。持ち始めた時期がずれているので、私は旧知の友人たちの携帯番号とか携帯メルアドとか全然持っていない。仕事でも外回りはほとんどないので、いちおう得意先の番号は入っているけど基本的に携帯は使わない。で、恐ろしいことにここ数か月で一気に増えたのが文章塾関係者の番号&アドレスで、頻繁に稼動しているのもその番号&アドレスだ。なんというのか、面白いもんだなあと、何が面白いのさと聞かれるとうまく説明できないが、思うのだ。
ケータイ歴の浅い私はメールを打つのが遅い。
「今、近江八幡です。何時何分に着きます。着いたら地下鉄に乗って……」と要点を押さえつつジョークもまじえたたっぷりしたメールをくださるつとむューさんに私は「了解」と打つのが精一杯で、打ったらその後瞬時にまた途中経過のメールが入る。その合間を縫って「ろくこです。やっぱり今夜忙しいかも」などとメールが入る。そしたらまたつとむューさん「駅に着きました。乗り換えます」。
私はマイブログのコメントレスを書いてしまおうとパソコンのキーボードをだだだだだっとたたいていた。
「ろくこです。待ち合わせ場所に今からいこうかな」
「つとむューさん、もうすぐくるよ」
幼稚園児の台詞みたいなレスを返したととたん、つとむューさんから「着きました」。
つとむューさんと、私たち(ろくこさんと私)はわりと年が近いことが判明して、30代前半の若造、いや違った、好青年をいたぶってやろうと、いや違った、もてなそうと意気込んでいた私たちはがっかり、いや違った、思いがけなく意気投合した。
つとむューさんのお仕事が何なのか、私は全然知らなかったし、想像つかなかったんだけど、何と彼の仕事は「地震予知」なのだ。
「えっ、じゃあ、つとむューさんの正体は、ナマズ?」
浅はかな私のボケをろくこさんはしらっと無視してくれたが、つとむューさんは律儀にあははと笑ってくださった。
日本のあちこちにある活断層。そこにはちゃんと観測所があるそうだ。いわば観測所のあるところ、活断層のあるところすべてがつとむューさんの仕事場なのだ。かっこええやん。
仕事や研究の成果をまとめた小冊子をくださった。難しい事柄がえんえんと述べられている。ええええ、こんなの書ける人がなぜ文章塾に?
「歌詞なんかを、センスよく書けたらと思って……」
照れ笑いのつとむューさん。
自作の歌詞をロックのリズムに乗せて歌う姿が目に浮かぶ。
日焼けした褐色の肌に、いかにも体育会系のたくましい体躯だが、意外なことにお酒は飲めないそうだ。とすると、際限なく飲み続け文章塾への愛と夢を熱く語る塾長と素面でうなずき受けとめるつとむューさんの図、in 札幌。
容易に想像できるのがまた嬉しいといっていいのやら、なんやら。
関西オフでお目にかかった人たちのうわさを、本人たちの不在をいいことに好き勝手しゃべりまくる私とろくこさんに、きっと、半ば呆れていたつとむューさん。いいたいことをいい終えて(なんじゃそら)、時間が来た私は「あとは適当に料理しな」とろくこさんに目で合図を送り(なんじゃそら)、退出した。ごめんなさい、つとむューさん。でも懲りずにまた、近くの活断層のチェックに来られた際は、こちらにも立ち寄ってくださいませね。