やっぱ、ダメ……・だけど2008/08/11 18:52:58

谷亮子選手が準決勝で負けたとき、解せない気持ちになったのは私だけではないだろうが、それにしても、まだ中学生だった頃からの彼女の活躍をみてきたもののひとりとしては、ああ、大人になったんだあ、お母さんになったんだなあとしみじみ思わずにはいられなかった。
丸くて、どこにそんなパワーがあるんだと思うほどちっちゃくて、ファニーフェイスが可愛らしくて。それがいつのまにか、頬がこけて、目つきの鋭い勝負師と、仕事と子育ての両立に苦悩する母親の、ふたつの顔を併せもつ大人の女になっている。いい顔だ。ほんとにそう思った。
四年に一度の大会に五回連続で出て、ずっとメダルを獲り続けているなんて、とにかく驚異だ。あれこれいう前に拍手。
次の大会も出てほしい。佳亮くんに手がかかってたいへんだろうし、彼女はけっして子育てを人任せにはしたくないだろうし、選手を続けることは困難だろうが、プレイしてほしい。
それにしてもなんだあ、あれ。あれ、柔道なのか? あんなので負けたって気にするこたあないけど、やっぱ勝って、西洋ジュードーなんて邪道なんだよって言ってやりたいよ。
フランスにいたとき、とても柔道が盛んなことを知ってうれしかったけど、自分たち流にやりたいなら違うスポーツとして確立すればいーじゃんか、サッカーからラグビーが生まれたようにさ。日本の柔道をいじくりまわすのはやめてくれ。Je vous le dit, a vous ! Vous, les Francais !!!

なんていってたら、内柴くんという、これも若いお父さんがそのにっくきフランス人を潰して勝った。溜飲が下がるってこのことだね。ほんとすっとしたっ。
近所のスポーツ洋品店では、「金メダルが出たら10%OFF」セールをやっていて、きっと昨日今日は混雑したに違いないのだ(笑)。
水泳でコースケくんが世界新で金という偉業を成し遂げてしまったし。
まったく、盛り上がりまくってええことだ。

しかし、やっぱ、ダメである。
なんで、あの国でオリンピック開催なんか可能だったわけ?
このご時世に注射器使いまわしてエイズ蔓延させて村ごと葬ったりしてる国だよ。
張りぼてみたいなスカスカの建物に未来を担う子どもたちを押し込んで倒壊させて、遺族に金払えばいいんだろーがって開き直って脅すような役人しかいない国だよ。
地方の少数民族のことなんか人間だとは思っていない国だよ。
あの馬鹿でかい競技場のために追放された庶民の行き先とか、各地で起こる暴動の犠牲者の数とか、何も公開しないで握りつぶす国だよ。
なんなんだよあの開会式。
あれ実現させるために何万人が餓死したんだろうと思う。
何万人がまともな医療を受けられずに死ぬのを待っているのだろうかと思う。
各民族衣装に身を包んだ子どもたちが出てきたのを見たときは(子どもたちは可愛いけれども)吐きそうになったよ。
どの面下げてあんな演出できんのさ。
軍のお兄さんたちが足振り上げて行進するのも反吐が出るけど、よほどあの国らしいよね。

けれど、アスリートたちには、開催地がどこなんて、関係ないのだろう。
その国の空気や水が居るだけで健康を害するほど汚染されているとか、その国では収賄が当たり前だとか、その国では公開処刑が当たり前だとか。
晴れ舞台に立てた感激、ライバルと競う喜び、自身の限界に挑む覚悟、そうしたもので心は張りつめてぱんぱん。ほかのあれこれが入る余地なんかないのだろう。

今日、ウチの娘は陸上の記録会で、長らく走る気のなかった1500mを走って自己ベストを出したそうで、ご機嫌である。炎天下をものともせずに連日練習に出かける娘を見ていると、プレイする本人たちにとってはたしかに、大会主催者が誰とか競技場はどことか、そんなのどうでもいいことなのだということがわかる。一緒くたにしちゃ、五輪出場選手に申し訳ないけどね。

コメント

_ おさか@実家です ― 2008/08/11 22:46:36

パチパチパチ(大拍手)
りょーこさんはエライ
あのどう考えても理不尽な判定に抗議もせず、静かに負けを受け入れて、がっちり銅メダルを取ったんだから
彼女こそ真のサムライであります
いいじゃないか金じゃなくても!
「ママでも金、ならず」なんて見出しにしないで
「あんなの柔道じゃねえ」
と書けコラーーー!

どういう国にも暗部というものはありますが
今回ほどそれが如実だったことないですよね
世の中とはそういうものだと
子どもに教えるいい機会ではありますけど
胸が痛い

_ midi ― 2008/08/12 12:32:45

おさかさん、おひさです。
ウチの購読紙には「ママで銅」だったよ。
昨日の新聞には「ママでも金 中国版」とか書いて昨年出産した中国選手の活躍を報じてました。
中国もロシアもアメリカも(←だいっ嫌いな国々by midi)、選手たちは皆ピュアな気持ちで一等賞目指してがんばってる。国威発揚のためとか将軍様のためとかじゃなくて自分自身のために、全力出し切ってほしいもんですね。スポーツの祭典なんだし、子どもにもスポーツのいいところだけ見ておいてもらいたい。とにかくこういう国際行事は問題が多すぎるから論じているときりがないのだ。

_ ぎんなん ― 2008/08/12 13:05:05

佳亮くん、熱を出したそうで。中国に連れてきてたんですねぇ。中国の大気が2歳の子供に影響しませんように。たいした事ありませんように。
谷亮子選手本人が「次も出る!」というのなら応援しますが、もし迷っているのなら出なくていいじゃん、と私なんかは思ってしまいます。オリンピック5回ですよ。16歳から、16年ですよ。それだけの年月第一線を走り続けただけですごいですよ。オリンピックの度にものすごい重圧も感じていたと思う。
もうのんびりしたって、いいじゃん。
私は怠け者なんで、そう思ってしまうなあ。

始まる前は何か起こって中止になったらいいのに、とか思っていましたが、始まっちゃったので、今はとにかく各国の選手に何事も無く、無事に終わってくれるのを祈るのみです。

と、高校野球を見ながら書いてます。
オリンピックはニュースやダイジェストで十分(汗)

_ midi ― 2008/08/12 21:14:31

こんばんはー
>谷亮子選手本人が「次も出る!」というのなら
いうんじゃないかなー
国内大会で負けたらしょうがないけどね。
迷いがないはずないけれど、けっきょく決めるのは自分なんだし、自分で続けるって選択をしそうな気がする。
たしかに現役生活長いけど、まだ30過ぎですよ。
今回の負け、あれは絶対納得してないよ(してないのは周りばっかかも?笑)。体が動くうちはやりたいと思ってるんじゃないだろうか。

_ 儚い預言者 ― 2008/08/13 10:35:07

 ふっと、暑気に体中の水分を抜き取られながら、生きることの夢を見た。
 読みながらローマ帝国の栄華が陽気の妖気になりながら、私の私であること、あなたがあなたでいること、そして世界のある一定の推移が、どこか生身であることがどういうことかを、真意に考えれば、人間という儚い器に、何を求め、何を救いになるのか、すでに文章としての呈をなしていないが、心の、体の、魂の、私であって、あなたであって、世界の夢の何と浮ついた様相は、どうしても循環しない世界を理想としているようだ。
 世界に私がいるのなら、あなたが必ずいるという事を、そしてそれが争いでなく、共にすることの、原始的な感覚の、崇高的な理解は、ある突飛な思考を齎す。
 人が生きるとは、世界を破壊ではなく、創造という非日常の、日常の意識的行為に、緩やかなかつ厳正な慈しみを持たざるを得ない。
 宇宙の希望を聞こうとする意思がなければ、或いは全的行為の探求への深い同意がなければ、人の、人たることの災いは逃れられない。
 世界はあなたの為に。

_ midi ― 2008/08/13 10:55:03

んなこといってたら、あゆみちゃんとかいう選手がずっと一本勝ちで2連覇成し遂げたりして、何も外野席で柔道の心配するこたーないんだよねそうだよねと思ったのでありました。決勝で見事に投げられちゃったリュシーちゃんもそこまで一本勝ちで勝ち上がってきたというし。彼女の、勝負のついた直後のぼーぜんとした表情がとてもよかった。体を宙に浮かされるってすごいことなんだろね。一瞬の、宇宙?そして奈落。うわー。わたしたちのへろへろぐだぐだした日常に比べて、彼ら彼女らの生きている世界の激しさに思いを馳せますが、到底理解には及びません。

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