チェチェンニュースからの転載2009/08/17 10:03:00

日本人にとって夏は鎮魂の季節である。いろいろと考えること、思いを馳せる人や時代や出来事があって、暑いとか雨うっとしーとか、そんなことは小さい小さいことのように思えてしまうのである。そんな小さいこと、といったが、毎年夏には、その酷暑や豪雨が原因で必ずかけがえのない命が奪われる。やはり鎮魂の季節なのだ。
怒りの矛先をどこへ向けたらよいやらわからぬまま、あるいは収まりのつかない気持ちを抱えたまま、はたまた大きな未練を現世に残したまま、亡くなった人たち、そういう人たちが、がばーっとまとまってユーレイ・クレーマー・デモ隊とかになって「ちょっとどうしてくれんのよ!」「責任者出て来い!」とかいいながら集団で上空を旋回してくれたらちょっとは涼しいかもしんねえぞ、などともつい考えてしまう私はやはりどこまでも俗人なのであった。

久し振りにチェチェンニュースを転載します。
とにかくもう、いい加減、頭にきているのである。
誰も関心もたないと思って、やりたい放題である。許せん。
以下、ちょっと長くて読むのがめんどっちいかもしれないが、要は相変わらず誰彼なしに殺されているので声を挙げよう!ということが書いてある。だからどやねんといわれるとグウの音も出ないが、のりピーの長男君の行く末も若干心配だがチェチェンの子どもたちの将来はその100万倍くらい心配なのである、私は。

どうかみなさん、ちびっとでも、関心をもってくださいませ。
苦境にある人々や地域に目を向けることは、自身の足許を見つめ直すことにもつながります。(よけいなお世話って? 自問自答してんだからほっといて!)

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チェチェンニュース #304 【転載・転送歓迎】

*【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について
先月から続く、チェチェンでの連続殺害事件について、チェチェン連絡会議の声明文を発行します。
事件をめぐっては、新聞での扱いが小さい上、記事だけでは混乱してしまう部分もあり、この声明では、できるだけ具体的に説明しています。
末尾に賛同フォームがあります。ぜひ、ご賛同をお願いします。

また、アムネスティ・インターナショナルも、「人権活動家狩りに終止符を」という国際ニュースを発行しました。こちらも、ぜひお読みください。
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=694&sel_lang=japanese

なお参考として、ラムザン・カディロフへのインタビューを掲載しました。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090813/1250163104
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【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について

2009年8月14日
呼びかけ:チェチェン連絡会議

ロシア南部、チェチェン共和国において、誘拐・殺害事件が相次いでいます。7月15日、チェチェン人の人権活動家で、ロシアの人権団体「メモリアル」の現地代表を務めていたナターシャ・エステミロワさんが何者かに誘拐され、その日のうちに銃殺遺体となって発見されました。

また、8月10日には、チェチェンの首都グローズヌイで、「若者を守ろう」という、戦争を経験した若年層や孤児を支援するNGOを運営していたザレーマ・サドゥラーエワさんと、夫のアリク・ジャブライロフさんが、二人同時に誘拐されたあと、すぐに銃殺され、翌11日に遺体が自動車のトランクに詰め込まれているのを発見されました。この他にも、大勢の一般市民が、同様の手口で誘拐/殺害されており、その件数は今年になって増加しています。

暴力の蔓延するチェチェンの中で、勇気をふりしぼって、人権のために活動していた人々が、こうして残酷に殺害されていることを知り、私たちは、悲しみと強い憤りを感じずにはいられません。

心から、この勇気ある方々のご冥福をお祈りいたします。

1991年に独立を宣言したチェチェン共和国は、2度にわたるロシアの軍事侵攻を受け、現在はロシア政府が後押しするラムザン・カディロフ大統領の親ロシア政権が、その大部分を支配しています。カディロフ氏は、これまで多数の虐待と非合法処刑事件に関して、チェチェン人のみならず、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチなど、多くの人権団体から批判を受けています。

相次ぐ事件のうち、とりわけ、エステミロワさんの殺害については、カディロフ大統領派の関与が強く疑われています。事件のあった日は、カディロフ派が行った虐待事件に関して、エステミロワさんは被害者の前で報告する予定でした。また、「メモリアル」は、カディロフ氏自身が、エステミロワさんに対して直接、脅迫をしていたと声明を出しています。

さらにカディロフ氏は、殺害への関与を否定しつつも、メディアを通じ、エステミロワさんに関して「誰も相手にしていない、恥知らずの人物」などと呼び、人権活動家に対するイメージダウンと、さらなる犯罪を誘発しかねない発言を繰り返しています。

このような要因を考えるとき、ロシア政府には、カディロフ氏に対する捜査も含め、実体のある公正な犯罪捜査を行い、事件の再発を防止する責任があります。もしもそうしないのであれば、ロシア政府は、このような未解決の事件に対して、カディロフ氏と同様の責任を有する──犯罪を容認し、これを支援していると言っても、過言ではないでしょう。

日本のメディアは、「現在のチェチェン国内は比較的『平穏』である」と解説する傾向があります。しかしこれは、このような人権侵害事件や、散発的に発生するゲリラ戦を知りながら、現実をあえて無視する表現であると、私たちは考えます。

また、サドゥラーエワさん夫妻の殺害事件に関しては、「武装勢力」によるものだという見出しが目立ちました。これまでのチェチェン報道において「武装勢力」とは、主にロシア軍に抵抗するチェチェン独立派を指すものでした。
しかし、今回のように、チェチェンで人権活動家たちを襲っているのは独立派ではなく、前述のようにカディロフ大統領派である可能性が、かなり高いと言えます。

人を誘拐し、銃殺する集団は、独立派であれ、親ロシア派であれ、「武装勢力」と呼べるでしょう。しかし、これまでの文脈に照らすとき、こうした文言は、犯行主体が独立派であるかのように誤解させるものでしかなく、それを避けるために、より具体性のある文言をあてることは容易なはずです。

また、チェチェン侵攻にはじまる暴力の渦が、チェチェンから、近隣のコーカサス諸国へと波及し、年々、腐敗と人権侵害、武力衝突が増えています。とりわけイングーシの人々には、カディロフ氏が国境を越えて「治安作戦」を行おうとしていることに対する反感や恐怖が強く、このような暴力の輸出はただちに止めなければなりません。

私たちは次のことを、ロシア政府および、国際社会に訴えます。

1、ロシア政府は、エステミロワさんおよびサドゥラーエワさん夫妻の殺害犯と、それを指示した人間を逮捕し、公正な裁判を通して真相を明らかにすること。アンナ・ポリトコフスカヤおよびアレクサンドル・リトビネンコの暗殺事件についても、公正かつ実体のある捜査・訴追の手続きを行うこと

1、ロシア政府は、これらの事件の根にある対チェチェン政策を根本的に見直し、チェチェンの人々の政治的権利と基本的人権を保障し、チェチェン領内での国際機関、報道機関、NGOの安全と自由な活動を保証すること

1、チェチェンにおいて、人権活動家や非武装の市民が次々と殺害されたり強制的に失踪させられていること、また、その犯行を疑われる人物自身が現地政府を支配している現状に対し、国際社会は一歩踏み込んだ対策をとる必要があります。日本を含む各国政府は、国際法上の普遍的管轄権を今こそ行使し、チェチェンにおける国際人道法および国際人権法の重大な違反行為について、犯罪捜査を開始すべきです

最後に、この声明を読んでいる皆さまへのお願いがあります。

チェチェンに生きる人権活動家や、一般の市民が日々体験している恐怖は、想像を絶するものがあります。こうした人々に、より多くの人々が関心を持つことこそが、チェチェン問題の平和的解決につながります。とりわけ、マスメディアに携わっている方々には、より公正な報道をお願いします。

そして、暴力のただ中で、発言を封じられている人々のためにも、この声明に賛同し、暴力に反対する意志を表明してください。多くの人々が憂慮を共有していることを、国際社会と、チェチェンの人々に伝えましょう。

チェチェンに平和と人権を!

呼びかけ:チェチェン連絡会議
賛同人:青山正(市民平和基金)
大富亮(チェチェン連絡会議)
岡田一男(チェチェンの子どもたち日本委員会共同代表・映像作家)
 
(この声明はロシア大使館、日本外務省、報道各社に送付し、 ロシア語または英語で、インターネット上で公開します)

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コメント

_ 儚い預言者 ― 2009/08/20 21:54:30

 支配の構図はどこも同じだ。それは弱いものの強がりでしかない。だから支配する虚構にしがみ付くのだ。
 パワーではない。真のパワーは存在である。だから存在を消そうとする。でもそれは虚構の存在である。真実の存在を知らないから表面的な泡を消そうとする。幻を消しても何もならない。だから一層に執拗に消すのだ。アガキは何もならないから、余計に上塗りする。それが幻という存在の、悪という夢の存在理由である。
 真実を見よう。そこには何も生むことのない虚妄の、果ては必ず自滅する道を。
 真実は誰もいない。愛の表現として、あなた、私がいるだけだ。ここには真実はない。しかし愛の喜びとしての世界がある。

 人生は夢である。だがそれに価値がないと言わない。逆に最大の宇宙の願いなのだ。それが何を語るか。愛から生まれ愛へと還る。それ以外の自由とは暗黒と虚妄の、非存在への追求である。愛は許した。その自由をも。

 もういいではないか。初めから存在しないものを存在するというのはオカシイ。愛の真実を輝かせていれば、愛自体が執り成してくれるだろう。それが光の証明であり、与えることの、世の中の奉仕の第一であるかもしれない。

 非暴力の意義とは、対立項を作らないという意味で、それは平和を望めば戦争が無くならないというジレンマに陥らないという意味で、深い物事の省察を加えなければいけないと思う。

 ほとんどというか今の時代は完全に忘れられた、宗教の意味は、世の中への感謝と賛美である。
 人は世の中の全てを祝福しに来たのだ。善悪の向こうにある真実の愛を認めて、愛の喜びに満たされる為に。

_ midi ― 2009/08/21 05:40:58

毎度ご贔屓にありがとうございます。
朝夕ちょっと涼しいなと思っていましたが、昨夜は蒸し暑かったー__まだまだ夏ですねえ。
チェチェンは険しい山に囲まれた小さな国ですが、夏はどんな季節なんだろうと想像します。

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