英語がナンなのさ。ふんっ2010/08/04 06:49:13


選択出版『選択』Vol.36 No.8(2010年8月号)
27ページ
〈連載〉Book Reviewing Globe(本から見る地球 連載315回)
『世界共通語としての英語』by J.T.Y

Globish How the English Language Became the World's Language
Robert McCrum


《楽天とファーストリテイリングがともに二〇一二年から英語を社内公用語にすることを決めた。(……)日常会話でもメールでも英語が浸透していくだろう。ここから英語リテラシーをモノにしたグローバル企業戦士が続々と生まれてくるに違いない。》(一段落め)

「グローバル企業戦士」……やだあ。ぜったいそんなもんになりたくないじゃない?
というか、なんと気持ち悪い響きなのだろう、この語。

続いて書評子はこういう。
《十年前、小渕首相の諮問機関だった「21世紀日本の構想」懇談会が「英語を日本の第二公用語とするべきだ』と提言した。恐ろしいほどの先見性だったが、(……)日本は世界の波に完全に乗り遅れた。指導者も経営者も官僚も学者も英語を使いこなせないことがどれほど日本の国益を損なっていることか。》(二段落め)

日本の国益が損なわれているとしたら、それは、指導者や経営者や官僚や学者の、本質的なレベルでの指導力やセンス、実直さや探究心などが不足していたりあらぬ方向へ向かっているためであって、けっして彼らの「英語能力の欠如」が原因となって「日本の国益を損なう」結果を呼ぶわけではない。断じてない。みんなもそう思うでしょ?

《もっとも徹底した社内英語公用語の成功例はドイツのシーメンスである。いま、同社は売り上げも従業員も非ドイツ人が圧倒的多数である。》(五段落め)

え。それ、自慢してるの? ドイツの会社なんでしょ?
ドイツのみなさんは、それでよかったの?

《企業だけではない。国づくりの一環として英語を公用語にしたケースとしてインドとシンガポールが有名だ。最近ではルワンダが公用語をフランス語から英語に切り替えた。(……)英語でないとグローバル経済競争で不利になるとの理由で転換した。》(六段落め)

ぐ……ちょっとルワンダっ 裏切ったわねっっ(笑)

《ゲーテ・インスティテュートは、ドイツ文化を世界に普及させるのにドイツ語を用いず、英語を使っている。そのほうがはるかに効率的だからである。》(七段落め)

「英語を使っている」ってどういう意味なんだろう。私の町にあるゲーテ・インスティテュート(ドイツ文化センター)はドイツ語学校でもあるし……たしかにいろいろなことが英語併記の場合もあったように記憶しているが……

自国の文化を異文化圏に普及させる、というのなら、まずはやはり自国語の習得を促すことから入らねばけっきょくは遠回りである。ある国の文化は、その文化から見て異文化圏にいる者にとっては絵に描いた餅でしかない。その餅を食べるには、つまり知りたいのならば、その国の地に足を下ろして生活するか、その国の言語を身につけそのことばで交感しなければならない。
日本にどんどん来てね、いいとこよ、と宣伝して外国人観光客を増やすのが目的なら、その観光旅行パンフは日本語よりも英語で創られて世界にばらまかれるべきであろう。
しかし、日本文化をほんとうの意味でわかってもらいたいとき、日本の風土や慣習になじんですっかり日本に溶け込んでもらいたいとき、違和感なく日本で生活を続けてほしいとき、その人に対して英語を使い続けることはほんとうに「効率的」なのか?

文化を語るときに効率を云々するのは、お兄さん、野暮ですよ。

書評子が批評の対象としている本は、《英語が世界共通語となっていった過程をグローバル化の流れを踏まえて活写している。》そうである。

英語が世界共通語となったことを称賛する内容なのかな。世界共通語になったからホラホラみんな英語習得せんでどうすんの、といっているのかな。
つまんねー。
きもちわるー。

私は日本人とは日本語で話したいです。

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