Merci beaucoup, c'est si gentil!2011/03/22 12:43:46

こういうときって、必ずこんな動きがあるけれど、台湾からということに、少し感動する。



何を歌っているかわからないけど、愛情込めて励ましてくれてるのは、わかる。

フランスにいたときのクラスメートに、マリ・ルイーズという台湾の女の子がいた。マリ・ルイーズという名は、フランスでそういうふうに呼んで欲しいという本人の希望で勝手に名乗っているもので、マリ・ルイーズが欧州人の血を引くとか洗礼名を持っているとかではない。

留学先にはアジア人学生がたくさんいた。マリ・ルイーズと一緒のクラスのとき、ほかには韓国人のヤンランやスキョン(いずれも女子)、大陸中国のチャンさん(男性)がいて、マリ・ルイーズもふくめてアジアングループを作りおしゃべりに花を咲かせた。そこに別のクラスのヨンチョル(韓国男子)とかシャオメイ(大陸中国女子)とかジャン・マルクとかリシャール(いずれも台湾男子)やカトリーヌ(同女子)なんかが加わって、実にいろいろな議論をした。私たちの国の外交もこんなふうに愉快に進むといいのにね、なんてよく笑ったものである(ちなみに会話は「初級」フランス語で行っていたが、私たちがワイワイ話しているところへ、あるいはそのあとに欧米系の学生が駆け寄ってきて「ねえねえ、あなたたち何語で話してるの、中国語?日本語?」なんてよく言ってくれたもんだ。私たちの下手な会話はアジア系言語にしか聞こえなかったらしい)。

今書いたように、台湾の子だけが欧風ネームを名乗っているのが、大陸中国人たちには滑稽に映っていたようで、彼らはよくこっそりと「なんで普通に自分の名前使わないんだろ」なんて私に耳打ちしてきたものだ。

マリ・ルイーズと初めて話をしたときに、ご両親のどちらかがフランス系なの?なんて的外れな質問をした。すると彼女は違う違うと笑って否定し、自分たちの名前はヨーロッパの人には発音しづらいのでこのように別名を名乗るのが通例となっている、というようなことをいった。え、そーお? そんなこと思いもしなかった。それって、台湾の人はみんなそうするの? たぶん、とマリ・ルイーズ。大陸の人は、香港人は? するとマリ・ルイーズは「よその国の事情は知らないわ」とこともなげに、興味なさそうに答えた。

アジアングループで話をしていたとき、マリ・ルイーズではない別の台湾の女の子が、話の流れで自国のことに言い及んで、「台湾という国はね、あ、失礼、台湾って国とはいえないのよね」と発言したことがあった。するとすかさず、大陸中国のある女の子が「そんなことないわ、台湾はれっきとしたひとつの国よ」と、ぱしっと言い切った。その座にいた誰もがそうそう、そうだよと大陸チャイナガールに同意した。「大陸中国の姿勢とか国際法的にどうであれ、僕らの感覚では台湾てのはもうすでに異文化圏のよその国だよな」といったのはたしか先述のチャンさんだ。

あの頃から20年近く経っている。けれど、中台間も、日中間も、そこに積み上がる問題を何も消化できていないようである。

アジア情勢とその問題にあまり目を向けてこなかったので何も言う立場にないが、20年以上前から、国と国のお付き合いは芳しくなくても、個と個は実にうまくいっていたと、自分の経験に照らせばそういうほかはない。肌や髪や目の色素の薄い人たちの国にいると、それらが濃い人たちを見るとどこの国の誰であろうと同胞だと思えたものだ。フランスにいたとき、街でアジア系の学生に出会えば必ず互いに声を掛け合い、どこの人? やっぱり日本人!だと思ったー♪ あなた韓国でしょ、私のクラスメートと同じ喋りかただもん、なんていってすぐ仲良くなった。相手が欧風の名前を名乗れば台湾人だとすぐにわかったし、マリ・ルイーズ言うところの「通例」はなかなかお役立ちであった。

アジアングループの面々とは、語学講座の期間が終わったらもう会わなかったし、住所を交換したマリ・ルイーズとも、手紙を一度交換しただけだ。でも、中国、台湾、韓国でなにかがあると、彼らの顔を思い出す。どうか無事でいて欲しいと思う。彼らは私やあのとき輪の中にいた日本の男女のことを覚えているだろうか。

コメント

_ 儚い預言者 ― 2011/03/23 14:05:54

会った奇跡
毎日の風景
一期一会

ありふれたこと
すれ違った人
とても小さなこと
家族の声

遠くに
とても近くに
照らして

想いが流れ出す
愛が微笑む

とても大切な
忘れそうな
零れ落ちそうな
夢でない
でも掴めない

喚起する夢の
発祥された煌めき

帰りたいのか
旅を続けたいのか

悲しみ
哀しみ
嬉しさ
喜び

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