Il était un petit chat...2011/07/04 00:55:38

ちょうどひと月前になる。6月4日土曜日,大阪市立美術館へ『歌川国芳展』を観に行った。

最終日にしか行けないなと思っていたら仕事を入れられてしまったので、むりやり土曜日の予定をこじ開けて、朝早くから出かけたのだった。だって遠いもん。
到着した天王寺という場所は、なんでまたこんなに来訪者を拒絶するふうなんだろうと思うくらい愛想がなく殺風景だった。地下から上がってまず目に見えるものが、よく空き地を立ち入り禁止にするために立ててある、可動式フェンス。何よご挨拶だわ。そんなフェンスが続く脇を、びゅんびゅん車が爆走する車道からの排気にむせながら歩くのである。ま、そこいら中工事中と見えて、しかたないんだけど、大阪のほかの街なら、工事中でももうちょっと、たとえそれが冴えない漫才みたいにイマイチなものだったとしても、おちゃらけでもなんでも、工夫をしたんじゃないかと思われる。しばらくいくと、JRの天王子駅が見えてきて、そこらあたりはもちいとばかし駅前然としていた。私は勝手に、天王寺という街に何か風情のようなものを期待して行ったのだ、後から気づいたが。それが裏切られて非常にむかついたのだった。天王寺も、もっと見るべき場所はあるんだろう、私はいわゆる旧市街のようなところには行かず、地下鉄を乗り継ぎ美術館へ直行してまた地下へ降りて肥後橋の友達に会って帰っただけだから、天王寺の「て」の字も、いいも悪いも、申し述べる資格などないのだろう。天王寺のええとこ、たとえばうまいもん屋などご存じのかたは教えてつかあさい。行かないけど。

大阪市立美術館はこんな建物。



館内は幾度もの修復を施した、苦心の跡が窺われるが、たいへん重厚な箇所も残っていて、和洋折衷のモダン建築によくある(私のまちにもたいへん多い)、何を狙ったかどこを目指したのか判然としないがとりあえず古いことでいい味出してるという建物の典型である。

国芳展はとてもいい気分で鑑賞できた。来場者のマナーは部分的においおい、だけれど、全体的には悪くはなく、人でごった返す人気展覧会にありがちな不愉快な場面にも遭遇しなかった。

美術館は天王寺公園の一角を成していて、天王寺公園の主役はなんといっても天王寺動物園なのだ。私は動物園事情に詳しくはないが、天王寺動物園には必見の動物が幾種類かあるそうだ。娘はとても行きたがっていた。公園のエリアに入ると一気に若いファミリーが増え、カップルも増える。動物園と美術館のゲートが同じで(なんでだろう)、え、ここで美術館の切符買って動物園通って行くのか?と怪訝な気持ちになるのだが、あの—ここで買うんですか?と訊ねると美術館前でもご購入いただけます、とおっしゃる。美術館へは? そちらの道からも行けます。あ、動物園通らなくてもええのね。
美術館への道は長く、ようやく到達したと思うと、小さな切符売り小屋があって、ここで買うんですか、と聞くと美術館入り口でも買えますよ。あの—窓口はひとつにしぼってほしいんだけど(笑)。という具合にたくさんの切符売り場を通過して、けっきょく美術館の入り口でチケットを買って、入場したのだった。広い公園で、いろんなところに出入り口があって、あっちからもこっちからもアクセス可能だから、あっちにもこっちにも切符売り場があるんだろうか。でも、どの売り場にもちゃんと人がいるというのがすごい。人件費がばかにならんではないか。それでもそうする、スバラシイ大阪市。

しかし。


美術館を出て、公園を眺めながら。
やっぱしもうちょっとなんとかならんかったんけ?みたいな気になる風景であった。
三角屋根は、何なんだろう。ルーブルにガラスのピラミッドができてから、あっちこっちに類似品が建ったが、これもそうなのか? それともこっちはオリジナル? ま、どっちでもいいけど。


向こうに見えるは大阪城直方体ヴァージョン(笑)。
なんなん、あれ?


もしかして書いたことあったかもしれないが、私は動物の中でいちばん好きなのはシマウマである。アニマル柄の服の着こなしは大阪のおばちゃんたちには敵わないのでけっしてゼブラ柄の服に手を出す気はないが、ホントはゼブラ柄,大好きである。シマウマのカラダほど美しいものはないとすら思うのである。ちなみに京都市動物園のシマウマたちはそれはもう美しいのである。
だから、シマウマをこんなふうにして遊ばないでほしい。
しかも背景に直方体の大阪城。
絵にならないにもほどがある。


噴水の真ん中には「キケン!」と大きな字の看板。
とても浅いので、親がちゃんと見てれば子どもの遊び場にいいのではないかと思ったけど、「ここはプールではありません。また、この水は消毒していません。」
笑えない殺し文句だ。

コメント

_ 儚い預言者 ― 2011/07/05 00:16:02

まあ、まあ、姫。今天王寺は、計画都市の犠牲の真っ只中。後何年かすれば、二十年前の理想的な都市の姿を、恥知らずなままに、殺風景な、人間味のない威容を異様に現しますので、もう少しお待ち下さいませ。
姫はシマウマなのね。「 野生のエルザ 」 ジョイ・アダムソンはヒョウ柄がお好きだったような。野生動物保護の大会で講演するとき、ヒョウ柄の服を着ようとして、秘書の必死の説得でやっと止めたとか。人違いかも。
でも女性は、野生がお好きなようですね。そうそう大阪の妙齢の女性は必ずゼブラや、トラや、ヒョウを一着は持っていると思う。

_ midi ― 2011/07/05 18:40:37

ウチと物干しが隣接するあるお宅の女性も、アニマル柄の洗濯物が多かった(笑)。お嫁に行かはりましたけど。よかったよかった。

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