気がつけば周りはどこもオール電化2010/11/12 17:56:27

夏場から立て続けに、リフォームとかIHクッキングヒーターとかエコなんとかとか太陽光発電とか、横向きにジャンルの近いコマーシャル制作を請け負って、世の中そんなに電化ライフへ傾いているのかと、半信半疑ながら感心していた。提供側と消費側と両方に取材をしてわかったのは、電気もガスも一長一短だからうまく組み合わせて使えればいちばんいいということだ。と、おりこうさんなことを書いて終わる気は、もちろんないよ。やっぱオール電化にすると光熱費が飛躍的に節約できるらしい。それは電力会社のサービスによるところが大きいんで、電力消費が減るわけではないんだけれども。ま、節約できるよといわれてもだね、ウチはガスの恩恵をこうむってきたのでウチ中オール電化という状態に踏み切るのにはすごくためらいを感じる。とある家庭でIHクッキングヒーターを見せてもらったが、スイッチというかタッチパネルというか、ちょいちょいと触っただけで、あとは勝手に、乗っかった鍋の中身をきちんと調理してくれるというその魔法のような調理器具に、自分の生きているうちにこんなものを使う時代が来るなんてと感銘すら覚えた。関係ないが、私はオートマチック車を運転することができない。私が免許を取得した頃はオートマチック車なんてなかった……わけないだろ。あったよ。もう、マイカーの主流はAT車だった。でも、教習はミッションで受けたし、私が車の操作でなにが好きだったかっていえばギアチェンジに他ならない。ガチャガチャとギアを押したり引いたりする私に教官は何でお前はそこにこだわるねん、左手もとりあえず普通はハンドルに置け、なんて言ったもんである。でも、隠れ左利きに違いない私は、こういうもんを左手で操作することに快感を覚えるのだ。車なんて、曲がるとき以外はハンドルを持つ必要はないじゃん? 左手でのギア操作と左足のクラッチつなぎで、まちなかを走るのは事足りる。これがAT車だったらすることなくて暇すぎて居眠りしてしまう……本気でそう思った。思っていたらしぜんとAT車を避ける癖がついて、気がつくとAT車の操作がわからない人になっていた(笑)旅先のレンタカー屋で、借りたいけどAT車しかなくて、座ってみてやっぱりわからなくて、お兄さんこれ、どこが何?なんて尋ねて、ええっお客さんやばいっすよー。だってさ、オートマ運転したことないねん。ええっお客さん、カッコよすぎないっすかー。……それはともかく、便利すぎると脳が退化するというのは、思い込みかも知れないが、あながち外れてもいなくない。極論だが、ガスコンロをIHに換えてしまったら、火加減というものを人間はしなくなるだろ? アタシなんかいまだに弱火中火強火のコントロールに四苦八苦してるってのに、でもその四苦八苦をけっこう楽しんでいるというのに、それがなくなったら。人間を人間たらしめているのは太古、炎を操れちゃったからだろ? ガスコンロや燃焼型暖房器具っていうのは、とにかくなし崩し的に便利になって、危険な火や炎を暮らしから遠ざけてきた人間が触れる最小の「火気」だったと思うけど、そこんところを、つーかその最後の砦を機械任せにするのはむしろ今まで以上に危険でないのかい? 家庭の中をオール電化に踏み切ったある若い奥さんがまとわりつく小さな子どもたちの頭を撫でながらつぶやいた。「暮らしの中から火というものがなくなったことが、子どもたちにとってよいことなのかどうか……」だよねー。洋式トイレしか知らない子どもたちが学校の和式トイレで何をどうすればわからなくなって泣き出すとかもらしちゃうとかいうのと同じような事態が、小学校の家庭科の授業で起こるかもしれないなあ。いやまて。家庭科から調理実習つーもんがほとんどなくなっているって知ってる? 私が小学生のとき、5・6年生になったら家庭科はほとんど調理実習だった。中学校へ上がると家庭科は技術・家庭となって男女別れて学習するようになるから、男子にとっては最初で最後の調理実習を楽しむ機会ってことで、中にはやたらはしゃいで千切り短冊切りみじん切りと披露するツワモノ男子もいたりして、賑やかで楽しい時間であった。中学での家庭科は、実習はひたすら縫い物が多かった。刺繍、アップリケ、ミシンでエプロン、パジャマ、スカート、ワンピース……。覚えたミシン縫いで彼氏のシャツを仕立てるツワモノ女子までいて、それはそれで賑やかで楽しかった。調理実習は少なかったとは思わないが、小学校のときの、あの、違うのは場所だけでまるでキャンプで飯盒炊爨やるような大騒ぎ実習ではなくなったのが、なんとなくつまらなかった。今、わが娘は小中とも技術家庭科は男女一緒で、やはり、いつの世も同じというべきか、包丁さばきの巧みなカツヒロとか運針がきれいなジュンヤの噂をしてくれるし、さなぎはさなぎで、のこぎりやかなづちを使うコツってやつをヒロキに教えてやったと言ったりするので、世の中変わったもんだわね、と思わなくもないのであるが、聞いていると小5以来約5年間、調理の実習は年に一度ずつくらいしかなかったと思う。一品だけ実習して、あとは応用レシピを配っておうちの人とつくりなさい、という話になっている。今後は学校でもガスコンロを使う機会はますますなくなるであろう。IH家庭で育った子は、調理実習でもコンロの火加減ができないからできる子任せにするだろうし。IHが多数派になったら、学校の家庭科実習室もIHになるのだろう。たぶん、先進的な設備を売り物にする私学ではもうそうなっているのだろうなあ。こうして世の中全部がいずれナマの火や炎を生活から駆逐して、あるとき家が放火に遭って火の手が上がったとき、燃え盛る炎を見て、「あの赤いの何?」なんてつぶやくようになるのだろう。恐ろしくないかい、それ。と、想像を逞しくするばかりの私の家の隣では今改築に向けて作業中であるが、聞くところによるとオール電化プラス太陽光発電設置なのだそうだ。ウチとええ勝負のゴミ屋敷寸前の汚い古家が、ぴかぴかのオール電化ハウスになる。きょえー。すごいわねえ、なんていってると、向かいの若奥さんが「ウチもオール電化ですよ」と言った。そういえば彼女が向かいの次男と結婚して同居することになったとき、お向かいは蔵を改造して彼らの新居にしたと聞いたが、そのときに古い母屋のほうも全部ひっくるめてオール電化にしたそうだ。ええっそうなの? 「三軒南の山口さんちもオール電化だって聞いたんで、思い切ったんですよ」ええっそうなの? と、気がつけば町内のほとんどがオール電化ライフに突入してガス器具を使っているのはウチだけ……という日が来るのはもうそんなに遠くないのだな。旗色悪いな、ガス会社。やっぱりガスかな、さすガッス! といってみても、やっぱ劣勢かな。私も今年デロンギ買っちゃおうかななんて思っているし、実は。

コメント

_ 儚い預言者 ― 2010/11/13 18:04:41

 懐かしい響きだ出論議、いやデロンギ。オイルヒーターの代名詞だけれど、なんかちゃうみたい。瞬間湯沸かしケトルのことかなーー。それならあのティファールでしょ。いつも愛用してます。早いよ沸くの、ほんまに。

_ midi ― 2010/11/14 00:06:51

電気代かかりそうですよね。どうしよっかなー。
そうそう、電気ケトルも比較検討中。

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