Elle a enfin fini sa carrière.2011/09/25 23:49:16

休日っていいなと実感するのは、時間に追われて家事をしなくてもいいことだ。洗濯も掃除も食事の仕度も、何時何分までに用意して何時何分までに終えて……という「段取り」をしなくていい。のろのろと、気の向くままに、今やりたいことをして、その次に思いついたことをして、というふうに、好きなように好きなことをしていても、誰も咎めることはない。眠ければまた寝ていいし。平日の朝なら、何時何分に私は出かけなくてはならないっという、何が何でもクリアしなければならないラインがあるのでそれから逆算して(娘が早く出発するとかプラスαのイベントがあるととくに)分刻みで段取りを計算して(寝坊なんかした日はとくに)一秒たりとも気を抜けない。給湯ポンプのタイマー音や、洗濯機の終了ブザーの音に耳を澄ましながら(キッチンから遠いしね)、卵を焼いたりサラダをつくったりトーストし終えたパンをオーブンから出したりするのは、それでも別に嫌いな作業でもない。ただ、そうしたことが時間を気にせずにできる日は、やはりどこかゆるゆるとしていて、外のお天気に関係なく、ああ今日っていい日だなと思えるのである。この土曜日もそんな日だったので、私は、朝、台所を片づけたあとにのろのろと洗濯機を回し、回っている間、ぼーっと村上龍を読んでいた。ら、突然、バキバキバキガラガラぐわんぐわんガチャガチャばりばりばりばりっっっとそれはもう、ものすごい音がした。隣家のウルサイ3歳児の遊ぶ声や歌う声や隣家の小1の大変上手なピアノのレッスン音なんぞかき消して余りあるというにはホンマに余りあり過ぎるくらいすごい音だったので、私はその音がウチではなくどこかよその工場が爆発したのではないかと一瞬思ったくらいだったが、音の近さからして紛れもなくウチだった。ものすごい音を発したのは、賢明なみなさんはもうお気づきであろう、洗濯機であった。驚くべきことに洗濯機は、そんな爆発に近い音を発していながら、回っていた。脱水の段階にきていたが、やがて時間が来て止まり、終了を知らせるブザーはきちんと鳴った。開けると、ちゃんと絞れていた。もう一度回さなくてはならななかったので、いったん終わった洗濯物を出し、2回目の給水に入った。水は溜まるし、ボタンを押すと作動した。が、洗濯槽は回らなかった。回している音はするのだが、どうやら、底のほうの外側で「槽」が外れてしまっているらしく、内蔵コンピュータの指令どおり動こうとしているようだが致命的な怪我を負ったからうごけないのよと言ったところか。それに続いて気づいたのだが、溜まった水が、排水の段階に来ていないのに勝手に排水しているので、どこかに穴でも空いてしまったのだろう。水が減ると、機械は注水しようとする。あれま。とうとう壊れたよ、洗濯機。15年選手でした。
よく利用した家電店が閉店セールをしているので見に行った。凄まじい勢いで在庫品が売れているようだ。いろいろな棚がスカスカで「展示品のみ」「現品限り」などの貼り紙が目につく。洗濯機は、いろいろあるが私の予算は限られているので、最初からあまり多機能なものは見ず、またドラム式は嫌いなので近寄らず、我が家の15年選手よりもひとまわり小さいシンプルなものを選んだ。店員は、もう閉店するからかどうか知らないが、寄ってきて恭しく挨拶したり希望を訊ねたりという、これまではやっていたことをいっさいせず、群がる客を放置してひたすら倉庫と売り場とレジを巡回している感じだった。すみません、これとこれの違いって何ですか、と私は5kg用の2万4000円のと4.5kg用の2万1000円を指して訊ねた。容量の違いだけですか。そうですね、それもありますが、こっちの5kgのは節水仕様なんです、ステンレス槽で。ふうん。水の使用量は少ないにこしたことはないと思って、じゃ、節水タイプにしようと安易に決めた。というより、ほかに選択肢はほとんどなかった。売り場にある商品にはほとんどが現品限りの貼り紙の上に売約済みの殴り書きメモが貼りつけてあった。乾燥機能付きだとか、8kgまで洗える大型のものなどは、閉店セールのくせに5〜6万は軽くするのだ。
リサイクル料とか設置料とナンダカンダで計3万円。配達&設置は殺到していて、即日も翌日も無理だった。したがって月曜日。明日、私が会社でブーたれている間に、新しい洗濯機がやってくる。楽しみだけど、古い15年選手と別れるのはやはりちょっと寂しい。娘が生まれて間もなく、先代機が壊れたために買ったものだったのでキャリアは娘の年齢とほぼ同じなのである。大量の布おむつ(そうよ、布おむつで育てたのよ、15年前はまだ布が主流だったよ、ホントよ)を洗い、おねしょのシーツも洗ったし、吐いて汚した毛布も洗ったし、成長すればどろんこの体操服や靴下やユニフォームを洗い、制服も、よそいきの服もクリーニングモードで洗ったし、洗ったスニーカーを絞ったし、ジャージに突っ込んだままのポケットティッシュも一緒に洗って怒ったし(ポケットの中のもんは出しとけってゆーたやろぉぉぉっっっ)。私は「ドライ」表示のものは洗濯機のクリーニングモードで洗うし、「手洗い」表示のものはネットに入れて普通に洗う(笑)。そんなわけだからほんまに我が家の15年選手はよく働いてくれたのである。今、娘は陸上部だがマネージャーなので、もうどろんこになった練習着などは持ち帰らない。中学校時代に比べて彼女の洗濯物は激減した。それを知ってか、もう引退させてということなのかな。別れに立ち会えないのは辛いが、君の部品が何かに生まれ変わって再び活躍する場のあらんことを。

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