C'est assez intéressant.2011/09/30 02:37:09

『レモネードを作ろう』
ヴァージニア・ユウワー・ウルフ著
こだま ともこ訳
徳間書店(1999年)


14歳のラヴォーンは母親と二人暮し。
小さな頃に父親を亡くした。
母親が働いて生活はなんとかやっていけている。
だけどラヴォーンは、この町の、この暮らしから脱出したいと切に願う。
どうすればいいんだろう。
そうだ、勉強して大学にいくんだ。
固く決心するラヴォーン。
素晴しいわ、あなたが大学へ行きたいと願うなんて。
母親は心底嬉しそうで、あなたならきっとできると娘を励ます。
たくさん勉強しなくちゃね。そしてお金も必要だわ。
お金。ラヴォーンは自分も何かしなくては、
と健気にアルバイトを探すのである。
アルバイトをすれば、勉強時間を削られる。
できるだけそういうロスタイムのないように働くにはどうしたらいいのだろう。
ラヴォーンが見つけたのはベビーシッターという仕事。
小さな子どもの世話をして、保護者が帰宅するまで留守番していればいい。
子どもを寝かしつけたら勉強していればいいんだし。
これっていいかも!
ラヴォーンは掲示板で見たベビーシッター募集の広告主を訪ねる。

まだハイハイもできない赤ん坊。
おむつの取れない3歳児。
二人の乳幼児を抱えて、四六時中町工場で働くのは、
17歳のジョリー。
ジョリーははっきり言わないけれど、
上の男の子・ジェレミーと、下の女の子・ジリーの父親は、違うみたいだ。

17歳の二人の子持ちのシングルマザー。
14歳のベビーシッター。
その母親は子育てと仕事を両立させてきた強い女性。
ラヴォーンの母親から見るとジョリーは危なっかしくて「めちゃくちゃよ」。
ラヴォーンにはそんなアルバイトはやめてほしい。
ラヴォーンだってわかっている。
ジョリーの影響は少なからずあるし(言葉遣いが悪くなった)、
留守番中の勉強なんてほとんど捗らないし、
実際成績は落ちるし、
ジョリーは工場をクビになってバイト代の支払いは滞るし……
だけどラヴォーンは、やめない。
ジェレミーは、いつのまにかラヴォーンになついて離れない。
ラヴォーンを見ると安心する。
ラヴォーンにのせられておむつも外れちゃった。
ベッドメイキングだってできるようになった。
ラヴォーンが蒔いたレモンの種の芽が出るのを、
今か今かと待ち続けるジェレミー。
ラヴォーンは、この子たちに「普通の」環境で育ってほしいと思う。
ジョリーが、途中でやめた学業を再開し、
社会へ出ても恥ずかしくない程度に読み書きができ(今は知らない言葉が多すぎる)
きちんと手続きをして福祉サービスを受け、
子どもたちに十分な保育環境を整えて。
そこまで、この親子3人にたどり着いてほしい。
ラヴォーンはその実現のために本気でこの親子にかかわっていく。


……というふうに、なんだか散文詩みたいな書きかたをされた小説である。YA小説を引き続き読んでいて、なんだかめぼしいものはみんな借り出されちゃっているので、あんまり残ってないなー何でもいいかな、日本の作家のものが読みたいんだけど、アメリカもんでもいいか、あれ、何だこれ、ヴァージニアウルフってYA小説まで書いてたのぉ???
と、大いなる勘違いで借りたのがこの『レモネードを作ろう』である。
開くと、余白の面積がやたら大きいのである。上でつらつら書いたように、センテンスは短く、長い場合は読点で改行されてて、1行がページの下端まで到達することが全然ない。叙事詩じゃないんだからよ。たくもう。失敗だったかなこりゃ、だって私ったら底抜けの馬鹿よねヴァージニア・ウルフなワケないじゃん。とアメリカンな自分突っ込みをしたりしながら読み進んでいくとこれが意外と深刻なネタで、まったくお母さんは呆れてものが言えないわっみたいな内容である。
こういうのを読むと、いつかドラマでやっていた『14歳の母』なんてのは、めっさニッポンなんだよねえ、甘くて口当たりいいのよねえ、と思っちゃうんです。

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