もうこの知性が生きて躍動することはないのだと思うとやはりどう考えても悲しいばかりなのである(その2)――チェチェンニュースから ― 2009/11/05 18:11:43
2009-09-03
#306 米原万里さん三周忌、プーチン政権への評価
〈記事について〉
安東つとむさんという人が季刊で発行している、『nudei』(ヌーディー)という雑誌がある。美容の業界誌として、今年初めに創刊された。業界のかかえる問題点や疑問を、消費者視点や社会的視点からとらえて提言するというもので、名前から想像するより、ずっと硬派な雑誌だ。
業界誌・・・という括りは無理かもしれない。ウイグル、チベットなどの、マスメディアがあまり報道しない問題も、積極的に掲載しているくらいだから。ミニコミがインターネット上のものになり、マスメディアが衰退していく中、こういう形で船出する人がいるのだ。
そのヌーディーに、米原万里さんと、プーチン政権についての記事が載ったので、許可を得て転載する。メディアの転換に果敢に取り組む人にしか書けない、触れば切れるような鋭い一文。(大富亮)
■"かくも長き不在" プーチンのロシアと米原万里三周忌
(安東つとむ/nudei編集長)
米原万里さんが、わずか56歳でガンに倒れ、惜しまれながら逝ってからもう3年過ぎた。
小・中学時代の5年間をプラハのロシア学校で過ごしたときの友情や思い出をいきいきと描き、政治に翻弄されたこどもの悲劇の真実を浮かび上がらせた『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』。かつてのダンス教師の謎を追いながら、いまもなお本質的には変わらぬロシアの権力者たちの醜さおかしさを描いた『オリガ・モリソヴナの反語法』。もうこんな傑作に、わたしたちは会うことができない。
3年目の5月、米原万里が生涯を終えた鎌倉市の鎌倉芸術館で「米原万里 そしてロシア展」が開催された。連休中には特別講演会もあり、井上ひさしさんの講演と「米原万里、そしてロシア」のシンポジウムが開かれた。
会場の小ホールの定員は600人だが、開会前から周辺は黒山の人だかり。キャンセル待ちの列まで長く伸びているのには驚いた。東京ならともかく、鎌倉にもこんなに万里さんのファンはいたんだ。そんな感想は、実はとても不遜だったとあとから気がつかされるのだが。
井上ひさしさんの講演は、米原万里の反語法の意味を、戯作者らしく愉快に素敵に語る魅力的な講演だったが、今回のテーマではないので、それはまた別の機会に。
この日の白眉はシンポジウムだった。万里さんの恩師でもあるロシア文学者の川端香里男さん、元NHKロシア支局長・小林和男さん、それに万里さんに励まされ続けたロシア文学者・沼野恭子さん。
シンポ全体が白眉だったとはいわない。そのある瞬間から、それは劇的に変わったのだ。
小林氏は元NHK支局長の人脈を活かして最近プーチンに会ったそうだ。そこで「びっくり仰天の体験」をしたという。
「プーチン元大統領・現首相のことを皆さんは嫌いでわたしもそうだったが、ロシアの若い女の子はプーチンが大好きだ。プーチンは官邸に柔道場をもっていて、そこには加納治五郎の等身大のブロンズ像や写真があり、彼は毎日拝んでいる。プーチンは柔道は単なるスポーツではなく、日本の文化や伝統、精神から生まれたもので、柔道を知らなかったら、自分はここにいなかったと言う。日本人はそういうプーチンのことを知らない。もっと理解すべきだ」
わたしは体が震えるほど怒っていた。では、万里さんがあんなにも憤り、死ぬまで「わたしはチェチェン病だ」と言っていたほど同情していたチェチェン人の民族的悲劇を起こし武力制圧と民族浄化さえ推し進めているのはいった誰なんだ! ロシアではプーチンに批判的で反体制的なジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんやリトビネンコが次々に殺されているのを、どう考えているのだ!
すると、可憐にさえ見える沼野恭子さんがこう反論した。
「ロシアの文学者たちは、ずっと権力と闘ってきた。ロシア人の反骨精神、反権力、そしてロシアの中の良いものや文化を守っていこうとす気持ちを、万里さんも認めていた。アンナ・ポリトフスカヤさんのような優れたジャーナリストが頑張ってきたのに、わたしにはプーチンがどうしてロシア人に圧倒的に支持されているのか、知りたい。こんな大変な歴史をもっていて、こんなに悲惨な思いをしてきたのに、また同じ道を歩むのかと、悔しい気持がします」
シンポジウムをただ黙って聞いていた会場の人たちの中から、大きな拍手がわいた。それは明らかに、プーチンに手もなくあしらわれて趣旨替えをして権力におもねる元ジャーナリストへの強い非難を含んだものだった。
シンポから2ヶ月後、かつてアンナ・ポリトフスカヤさんの仕事を手伝っていたジャーナリストのナターリア・エステミローワさんが、チェチェンの自宅前で誘拐され銃殺死体となって発見された。ロシアと同じく、プーチンの傀儡カディロフ政権の下では、反体制ジャーナリストを殺した犯人は発見されないし、罰せられもしない。そのことを、メディアは大きくは伝えない。継続的なニュースすらない。体制側に乗っ取られたロシアの「国営」テレビはもちろん冷淡な扱いだ。そして日本のジャーナリストはこのざまだ。
米原万里逝って3年、"かくも長き不在" を感じさせるシンポジウムだったが、しかし、あの600人の拍手の意味を考えるとき、希望がないわけではない。ロシアの文学者・ジャーナリストにもそうであってほしい。
「ヌーディ」は一般の読者にも販売している。定価840円。
連絡先
〒167-0054 東京都杉並区松庵3-21-10クレッセント西荻窪102
株式会社街風通信 「ヌーディー」編集部
TEL 090-4914-4597 FAX 03-6772-5560
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もうこの知性が生きて躍動することはないのだと思うとやはりどう考えても悲しいばかりなのである(その1)――チェチェンニュースから ― 2009/11/05 15:52:18
ドキュメンタリー映画『アンナへの手紙』
エリック・バークラウト監督作品(83分)
情報ページ
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090821/1250863763
日時 2009年11月20日(金)19:00~21:40
会場 文京シビックホール・小ホール
http://www.b-academy.jp/b-civichall/access/access.html
参加費 1,000円
共催:チェチェン連絡会議/(社)アムネスティ・インターナショナル日本
★上映後、トークイベント開催!
特別企画:鼎談「アンナ・ポリトコフスカヤを語る」(仮題)
林 克明(ジャーナリスト)×寺中 誠(アムネスティ日本事務局長)×大富 亮(チェチェンニュース)
チラシ
http://chechennews.org/dl/20091120_anna_leaf_omote.pdf
http://chechennews.org/dl/20091120_anna_leaf_ura.pdf
■『アンナへの手紙』に寄せて ──私たちの希望のためにも
大富亮(チェチェンニュース)
ロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤ。彼女は1999年に始まった第二次チェチェン戦争を偶然取材するようになり、幾度となくチェチェンに潜入しては、軍事侵攻を続けるプーチン政権を痛烈に批判する記事を書いた。
「どうして私が生きているのかわからない──奇跡だわ」と語る彼女。悲しいことに、その奇跡は世界の見ている前で取り消された。2006年にモスクワの集合住宅で、彼女は暗殺されたのである。
この映画は、生前のアンナへのインタビューや、一緒に独立紙「ノーヴァヤ・ガゼータ」で働いていた同僚たち、人権活動家などへの聞き取りを通して彼女への「手紙」を編もうとする。
ソ連崩壊後、ロシアではほんのわずかの間の民主化と言論の自由があったが、94年にチェチェンへの侵攻が始まって失われ始め、2008年現在、ほぼすべてのテレビ局と新聞は政府の管理下にある。
チェチェン戦争は、南ロシア・コーカサス地方というロシア全体から見ればごく小さな場所で起こっている地域紛争だ。独立を宣言したチェチェン共和国に対してロシア軍が侵攻を開始し、ここに住んでいた100万人ほどのチェチェン人のうち20万から25万人が殺戮され、今は親ロシア派のチェチェン人、ラムザン・カディロフによる傀儡(かいらい)政権が支配している。
生きていた頃のアンナがスクリーンの中で笑っている。あのハスキーな声で議論をするのが聞こえる。講演の合間に、ヨーロッパのどこかの公園を逍遥している姿は、戦争とロシアの現実を訴えて回り、それが「上品な拍手」に迎えられながらも何の結果にもつながらないという絶望をにじませているように思える。
人の死は徐々に忘れられていくけれど、大勢の人を代弁し、その命を救おうとした人の死は忘れられてはならないものだ。それは私たち自身も、そんな人間でありうるという希望を忘れないためでもある。
なお、日本では彼女の著作は「チェチェンやめられない戦争」「プーチニズム 報道されないロシアの現実」「ロシアン・ダイアリー 暗殺された女性記者の取材手帳」の3冊がNHK出版から刊行されている。
●アンナ・ポリトコフスカヤ
ロシアのジャーナリスト。1958年生まれ。1980年、国立モスクワ大学ジャーナリズム学科卒業。モスクワの新聞「ノーヴァヤ?ガゼータ」紙評論員。1999年夏以来、チェチェンに通い、戦地に暮らす市民の声を伝えてきた。「ロシアの失われた良心」と評され、その活動に対して国際的な賞が数多く贈られている。2004年、北オセチアの学校占拠事件の際、現地に向かう機上で、何者かに毒を盛られ、意識不明の重態に陥った。回復後、取材?執筆活動を再開する。2006年10月7日、モスクワ市内の自宅アパートで、凶弾に倒れた。著書に『チェチェンやめられない戦争』(NHK出版)など。
チェチェンニュースから転載 ― 2009/08/26 14:57:09

先日、久し振りにチェチェンニュースを転載したんですが。
http://midi.asablo.jp/blog/2009/08/17/4520875
「賛同の声明」について報告がありましたのでまた載せます。賛同者にはバレエの伝道師を名乗っておられる法政大学教授の鈴木晶さんのお名前も見えます(あーあウチの子もこの先生に批評してもらえるくらいの舞台に立てたらなー)。
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』
★★池袋の新文芸坐で【明日上映】です!!!★★
詳細下記。
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チェチェンニュース #305
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■人権活動家殺害抗議声明についてのご報告
8月14日にチェチェン連絡会議が発行した声明、「チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について」に、多くの方からご賛同をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090814/1250228020
声明文は報道各社およびロシア大使館、外務省ロシア課に送付しました。
数日の間に、100人を超える方々から賛同の署名をいただきました。メッセージも多数いただいていますので、次のサイトに掲載しております。ぜひご一読ください。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090812/1250258885
また、声明の英語版もできました。(Special Thanks to Ms Chelsea Watson)海外のご友人にも、ぜひご紹介ください。
英語版声明文:
“Peace and Human Rights for Chechnya!”
Statement of the Japanese People Regarding the Killing of Chechen Human Rights Defenders
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090818/1250592389
今後も、チェチェン問題に関心をお持ちいただければ幸いです。
ありがとうございました。
■イベント情報(抜粋)
▲映画の上映
8月27日(木)
『チェチェンへ アレクサンドラの旅』(2007年/露仏/パンドラ)
東京・池袋 新文芸坐(03-3971-9422)
12:45/16:45/20:45(終映22:15)
孫へのまなざし 平和への祈り ロシアの見たチェチェン
http://www.chechen.jp/
↓ 上映当初に行われたトークショーなどが掲載されています。
http://chechen.exblog.jp/
11月20日(金)
文京 シビック小ホール
アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺3周年・追悼特別上映会
『アンナへの手紙』
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090821
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『チェチェンへ アレクサンドラの旅』も『アンナへの手紙』も、私は観たことがありません。ほかにもいろいろと映像記録や映画作品はありますし上映の機会もあるんですが、観賞するにいたっていません。もしもご覧になられた方がいらしたら、感想をお聞かせくださいませ。(by midi)
チェチェンニュースからの転載 ― 2009/08/17 10:03:00
怒りの矛先をどこへ向けたらよいやらわからぬまま、あるいは収まりのつかない気持ちを抱えたまま、はたまた大きな未練を現世に残したまま、亡くなった人たち、そういう人たちが、がばーっとまとまってユーレイ・クレーマー・デモ隊とかになって「ちょっとどうしてくれんのよ!」「責任者出て来い!」とかいいながら集団で上空を旋回してくれたらちょっとは涼しいかもしんねえぞ、などともつい考えてしまう私はやはりどこまでも俗人なのであった。
久し振りにチェチェンニュースを転載します。
とにかくもう、いい加減、頭にきているのである。
誰も関心もたないと思って、やりたい放題である。許せん。
以下、ちょっと長くて読むのがめんどっちいかもしれないが、要は相変わらず誰彼なしに殺されているので声を挙げよう!ということが書いてある。だからどやねんといわれるとグウの音も出ないが、のりピーの長男君の行く末も若干心配だがチェチェンの子どもたちの将来はその100万倍くらい心配なのである、私は。
どうかみなさん、ちびっとでも、関心をもってくださいませ。
苦境にある人々や地域に目を向けることは、自身の足許を見つめ直すことにもつながります。(よけいなお世話って? 自問自答してんだからほっといて!)
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チェチェンニュース #304 【転載・転送歓迎】
*【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について
先月から続く、チェチェンでの連続殺害事件について、チェチェン連絡会議の声明文を発行します。
事件をめぐっては、新聞での扱いが小さい上、記事だけでは混乱してしまう部分もあり、この声明では、できるだけ具体的に説明しています。
末尾に賛同フォームがあります。ぜひ、ご賛同をお願いします。
また、アムネスティ・インターナショナルも、「人権活動家狩りに終止符を」という国際ニュースを発行しました。こちらも、ぜひお読みください。
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=694&sel_lang=japanese
なお参考として、ラムザン・カディロフへのインタビューを掲載しました。
http://d.hatena.ne.jp/chechen/20090813/1250163104
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【声明】チェチェン人人権活動家の連続殺害事件について
2009年8月14日
呼びかけ:チェチェン連絡会議
ロシア南部、チェチェン共和国において、誘拐・殺害事件が相次いでいます。7月15日、チェチェン人の人権活動家で、ロシアの人権団体「メモリアル」の現地代表を務めていたナターシャ・エステミロワさんが何者かに誘拐され、その日のうちに銃殺遺体となって発見されました。
また、8月10日には、チェチェンの首都グローズヌイで、「若者を守ろう」という、戦争を経験した若年層や孤児を支援するNGOを運営していたザレーマ・サドゥラーエワさんと、夫のアリク・ジャブライロフさんが、二人同時に誘拐されたあと、すぐに銃殺され、翌11日に遺体が自動車のトランクに詰め込まれているのを発見されました。この他にも、大勢の一般市民が、同様の手口で誘拐/殺害されており、その件数は今年になって増加しています。
暴力の蔓延するチェチェンの中で、勇気をふりしぼって、人権のために活動していた人々が、こうして残酷に殺害されていることを知り、私たちは、悲しみと強い憤りを感じずにはいられません。
心から、この勇気ある方々のご冥福をお祈りいたします。
1991年に独立を宣言したチェチェン共和国は、2度にわたるロシアの軍事侵攻を受け、現在はロシア政府が後押しするラムザン・カディロフ大統領の親ロシア政権が、その大部分を支配しています。カディロフ氏は、これまで多数の虐待と非合法処刑事件に関して、チェチェン人のみならず、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチなど、多くの人権団体から批判を受けています。
相次ぐ事件のうち、とりわけ、エステミロワさんの殺害については、カディロフ大統領派の関与が強く疑われています。事件のあった日は、カディロフ派が行った虐待事件に関して、エステミロワさんは被害者の前で報告する予定でした。また、「メモリアル」は、カディロフ氏自身が、エステミロワさんに対して直接、脅迫をしていたと声明を出しています。
さらにカディロフ氏は、殺害への関与を否定しつつも、メディアを通じ、エステミロワさんに関して「誰も相手にしていない、恥知らずの人物」などと呼び、人権活動家に対するイメージダウンと、さらなる犯罪を誘発しかねない発言を繰り返しています。
このような要因を考えるとき、ロシア政府には、カディロフ氏に対する捜査も含め、実体のある公正な犯罪捜査を行い、事件の再発を防止する責任があります。もしもそうしないのであれば、ロシア政府は、このような未解決の事件に対して、カディロフ氏と同様の責任を有する──犯罪を容認し、これを支援していると言っても、過言ではないでしょう。
日本のメディアは、「現在のチェチェン国内は比較的『平穏』である」と解説する傾向があります。しかしこれは、このような人権侵害事件や、散発的に発生するゲリラ戦を知りながら、現実をあえて無視する表現であると、私たちは考えます。
また、サドゥラーエワさん夫妻の殺害事件に関しては、「武装勢力」によるものだという見出しが目立ちました。これまでのチェチェン報道において「武装勢力」とは、主にロシア軍に抵抗するチェチェン独立派を指すものでした。
しかし、今回のように、チェチェンで人権活動家たちを襲っているのは独立派ではなく、前述のようにカディロフ大統領派である可能性が、かなり高いと言えます。
人を誘拐し、銃殺する集団は、独立派であれ、親ロシア派であれ、「武装勢力」と呼べるでしょう。しかし、これまでの文脈に照らすとき、こうした文言は、犯行主体が独立派であるかのように誤解させるものでしかなく、それを避けるために、より具体性のある文言をあてることは容易なはずです。
また、チェチェン侵攻にはじまる暴力の渦が、チェチェンから、近隣のコーカサス諸国へと波及し、年々、腐敗と人権侵害、武力衝突が増えています。とりわけイングーシの人々には、カディロフ氏が国境を越えて「治安作戦」を行おうとしていることに対する反感や恐怖が強く、このような暴力の輸出はただちに止めなければなりません。
私たちは次のことを、ロシア政府および、国際社会に訴えます。
1、ロシア政府は、エステミロワさんおよびサドゥラーエワさん夫妻の殺害犯と、それを指示した人間を逮捕し、公正な裁判を通して真相を明らかにすること。アンナ・ポリトコフスカヤおよびアレクサンドル・リトビネンコの暗殺事件についても、公正かつ実体のある捜査・訴追の手続きを行うこと
1、ロシア政府は、これらの事件の根にある対チェチェン政策を根本的に見直し、チェチェンの人々の政治的権利と基本的人権を保障し、チェチェン領内での国際機関、報道機関、NGOの安全と自由な活動を保証すること
1、チェチェンにおいて、人権活動家や非武装の市民が次々と殺害されたり強制的に失踪させられていること、また、その犯行を疑われる人物自身が現地政府を支配している現状に対し、国際社会は一歩踏み込んだ対策をとる必要があります。日本を含む各国政府は、国際法上の普遍的管轄権を今こそ行使し、チェチェンにおける国際人道法および国際人権法の重大な違反行為について、犯罪捜査を開始すべきです
最後に、この声明を読んでいる皆さまへのお願いがあります。
チェチェンに生きる人権活動家や、一般の市民が日々体験している恐怖は、想像を絶するものがあります。こうした人々に、より多くの人々が関心を持つことこそが、チェチェン問題の平和的解決につながります。とりわけ、マスメディアに携わっている方々には、より公正な報道をお願いします。
そして、暴力のただ中で、発言を封じられている人々のためにも、この声明に賛同し、暴力に反対する意志を表明してください。多くの人々が憂慮を共有していることを、国際社会と、チェチェンの人々に伝えましょう。
チェチェンに平和と人権を!
呼びかけ:チェチェン連絡会議
賛同人:青山正(市民平和基金)
大富亮(チェチェン連絡会議)
岡田一男(チェチェンの子どもたち日本委員会共同代表・映像作家)
(この声明はロシア大使館、日本外務省、報道各社に送付し、 ロシア語または英語で、インターネット上で公開します)
------------------------------------------------------
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チェチェンニュースからの転載 ― 2009/06/12 20:47:33
(以下は抜粋です、あしからず)
チェチェンニュース No.295
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●蕨市での排外主義的デモ
この4月、「在日特権を許さない市民の会」という団体が、埼玉の蕨市でデモをした。ご存知の方も多いと思うのだが、内容は、両親がフィリピンに強制的に帰国させられ、日本でひとり生活することになったカルデロン・ノリコさんの通う中学校や自宅付近を、「一家を追放せよ」などというスローガンを叫びながら歩き回ったのだった。
そして彼らは明日13日、今度は京都で外国人の参政権に反対するデモをするのだという。確かにカルデロンさん一家が日本に入国したいきさつには法的に問題があったようではある。しかし不法入国のケースであっても、一家が求めたような特別在留許可が出たことは過去にもある。
そういう事情はおいても、このデモはひどすぎる内容だった。「国民大行進」という不気味な名のもとに、中学生の子どもを大人たちが恫喝し、「帰れ」と叫んだのだ。彼女が生まれたのは、この日本だというのに。
「在特会」はこういう活動を「人道のために」しているのだという。つまり、彼らのような不法入国者に正式なビザを与えると、同じような人々があとにつづいて日本にやってくる。そうすると、ノリコさんのような可哀想な子どもが何千人も生まれてしまうというのだ。
おもしろいことを言う人たちだと思う。世界全体の経済が、第三世界から「先進国」に人々を追い込んでいるのを無視して、入ってきた人々は恫喝して追い出そうとする。その理由が、当の追い出される人々のための「人道」だというのだから。
「私は排外主義者です」と言う人はまずいない。むしろ「人道主義の見地から」こんなひどいことをするのが人間なんだということを、学ばせてもらったような気さえする。
明日は京都で「在特会」などがデモをする。しかし、その場に立ち会い、排外主義に反対し、意思表示をしようとする人たちもいる。本当に勇気のある、心の熱い人たちだと思う。できることならその場に行きたい!
6/13 京都:外国人排斥を許さない6・13緊急行動
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悲しいことばかり ― 2008/10/07 19:03:27
(※私は頻繁に「立ち直れないほどの衝撃」を受けるのだが、泣いて寝ても翌日は起きて会社へ出勤しているのでどのような出来事も私を打ちのめすことなんてできないんだなあ、と思ってよく悲しくなる)
つい先日、とある場所でとある映像を観て、そのナレーションが緒方家のある人の声で、声は「ええ声」だがナレーションのしかたがあまりといえばあまりな出来映えだったので、会う人ごとに「サイテーだったよ!」と吹聴しまくっていたのだが、しばらくは口を慎まねば、となんだか沈んだ気持ちになった。あんまり意味ないけど。
緒方拳は『鬼畜』が最高だった。ついでにいうと、岩下志麻も、あの映画が最高だった。
私の父が患っていたのと同じ病気で亡くなったようである。同列に論じては申しわけないが、それにしてもここ数年、70代前半で亡くなる方はほとんどみなさん、若い頃の既往症に肝炎を持ち、肝がんで亡くなっている。医療体制がずさんだった、彼らが20代前半から30代にかけての頃、注射針や輸血で感染したと思われる。いちど黄疸が出て、回復するが、肝炎ウイルスは40年かけて癌へ成長するのである。
もういちど、白髪の老人役で、緒方拳を観たかったよ(号泣)
合掌。
話を変えるが、今日はアンナの命日なんだ。
で、アンナの本の話をしようと思っていたけど。チェチェンニュースにこんなくだりがあったので抜き出して紹介する。
**********************
10月3日の東京新聞夕刊に掲載された「放射線」というコラムに、作家の星野智幸さんの意見が掲載されていた。
「10月7日は、私が世界で最も尊敬するロシア人ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの命日である。2006年のこの日、プーチン政権の闇を暴き続けてきたポリトコフスカヤは、自宅前で何者かに銃で殺された。(……)今、日露の関係はよくも悪くもない。だが、両国とも「愛国教育」を過熱させており、何らかの摩擦が起これば、相手を敵視することもありうる。そんな愚かな歴史を繰り返さないためにも、私はポリトコフスカヤを読み返す」
紙面では、チェチェンで戦った若き日のトルストイや、明治の知識人、そして現在の戦争と、星野さんならではの視点で追悼が語られている。
************************
星野智幸さんという作家の本を私は当然ながら読んだことはないんだけど、アンナのことを「世界で最も尊敬する」と形容しておられるという点(だけ)で彼と私は同志であるからして、機会があったら星野作品を読んでみようと強く思ったのであった。
アンナを知ってから、そして彼女が殺されてから、世界は何も変わらないどころか、悪くなっていく一方である。そして次々と、人が逝く。
チェチェンニュース Vol.08 No.11 2008.10.07
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081006/1223300258
チェチェンニュースからの転載 ― 2008/09/26 16:07:59
____________________*
チェチェンニュース Vol.08 No.09 2008.09.26
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080926/1222402231 (HTML版)
発行部数:1648部
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■欧州人権裁判所、ロシア政府に20万6千ドルの支払いを命令
グッドニュースです。ヨーロッパ人権裁判所が重要な判決を出しました。
報道関係の方は、ぜひ掲載をおねがいします。末尾に元記事へのリンクを置きます。
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9月4日、ヨーロッパ人権裁判所(ECHR)は、チェチェン戦争で誘拐・殺害された被害者の2家族からの訴えに関し、賠償として20万6千ドル(2千万円程)の支払いを、全判事一致の判決で命じたことが、25日になって明らかにされた。
アドナン・アフマドフの両親は、2002年に息子が誘拐された事件に、ロシア当局が関わっていると主張していた。アドナンはロシア兵士によって逮捕されたことが証言によって明らかだったためである。ロシア政府はこれを否定していたが、裁判所には認められなかった。
また、ルスラン・メジードフは、両親や兄弟姉妹が、99年のロシア軍による村への砲撃で殺害されたとして同裁判所に訴えていた。ロシア側は砲撃の結果に関して軍は責任を負わないという主張だったが、これも認められなかった。
今年初め、欧州評議会(COE)は、ロシア政府に対して、治安部隊によるチェチェンや他のコーカサス地域への人権侵害(虐待や処刑)を強く批判していた。
ヨーロッパ人権裁判所はここ10年の間に、合計して46,700件のチェチェン人からの訴状を受け取っており、そのうち正式な手続きに入っているものは2割ほどだという。(RIAノーボスチ)
http://en.rian.ru/society/20080925/117106711.html
欧州人権裁判所のプレスリリース:
http://cmiskp.echr.coe.int/tkp197/viewhbkm.asp?sessionId=14129764&skin=hudoc-pr-en&action=html&table=F69A27FD8FB86142BF01C1166DEA398649&key=72876&highlight=Chechnya
http://cmiskp.echr.coe.int/tkp197/viewhbkm.asp?sessionId=14129787&skin=hudoc-pr-en&action=html&table=F69A27FD8FB86142BF01C1166DEA398649&key=72914&highlight=Akhmadova%20
過去の関連記事: http://chechennews.org/chn/0506.htm
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080611/1213164486
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20051220/1135092095
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20050228/1116317336
_________________________*
前エントリについては昨年、こんな記事を取り上げました。
http://midi.asablo.jp/blog/2007/11/22/2452329
ったく、むかつくロシア。でもキーロフバレエの『白鳥の湖』は世界一美しい。てこともぜーんぶまとめてンナローむかつくロシア(by midi)
許せないやつ 筆頭 ― 2008/09/23 17:39:35
――プーチンと秘密警察の恐るべきテロ工作を暴く――』
アレクサンドル・リトヴィネンコ、ユーリー・フェリシチンスキー共著
中澤孝之監訳
光文社(2007年)
貴重な貴重な休日が仕事で潰れてしまった。非常にむかっ腹が立つ。むかっ腹が立つついでにとにかくこの世でいちばん許せない奴の話をすることにした(笑)。
ラシーヌとか、ラコレデュノールとか、リズラエールとか、レゼタズュニとか、国家そのものを解体してしまえと日頃から憎憎しく思う国は多々あるが、それらの国の国家元首たちには個人的な憎しみはほとんど持っていない(ふつう、持ちません。笑。私の場合「ほとんど」がつきますが)。だってラシーヌがラシーヌたるのはべつにコキントーのせいじゃない。彼の笑顔は気持ち悪くて好きじゃないけど、誰が主席になっても私は気持ち悪いと感ずると思うので、それはいい。ラコレデュノールの場合いまの老いぼれより悪党なのはいまだに遺体が完全保管されているというオヤジのキムイルソンだ。リズラエール、レゼタズュニについてもラシーヌに同じ。レゼタズュニったら、もうすぐ新しい大統領が決まるんだね。国民は皆わくわくしてるんだろうね。私はマケインが勝つと思う。あの国の人たちは、市長や州知事くらいならカラードや移民を選んでも、大統領には絶対選ばない。人口比で上回ることがない限り、欧州由来の白人しかトップに立てないと思う。ま、そうはいってても、カラードや移民が増えていくには違いない。そして、ある一定の場所にかたまるようになると人口分布に特徴が出て、その地域が独立を画策するかもしれない。そのときに50州をまとめる力量のある人が大統領なら何も起こらないだろうケド。
あ、わが同盟国についてはどうでもいいんだった。
ロシアという国家はどうか。逆に、私は、ロシア共和国連邦という大きな共同体じたいを憎憎しく思ってはいない。豊かな文化を湛える国家体であり、それは今も変わらない。ソ連の解体以降独立した国、できなかった国、それぞれ事情はあろうが、独立した国は国際社会の一員として振る舞えばよく、独立できなくて共同体内に残った国はロシアに助けてもらえばいいのである。
ふつうはそうするのである。会社は、結婚するとか起業するとか理由はなんであれ辞めた元社員は追わないのである。辞めた社員は新しい環境で頑張らんといかん、それだけである。辞めずに居座る社員については辞めさせたくても辞めるといわない以上保険を負担してやり給与を払わねばいかんのである。そういうもんである。
しかしプーチンは、自分のところから出て行った人間を許さないのである。どこまでも追う。抹殺するまで追う。追い続ける。ソ連から独立した国々の弱みを握り続け、命綱を制御し続け、監視下に置き続ける。ロシア共和国内残留組が独立を唱えるのは許さない。ふん、ロシアから離れたければ離れるがいい、死をもってな……というわけでチェチェンはプーチンに虐め抜かれている。
そう、今日のタイトル「許せない奴 筆頭」はウラジーミル・プーチンである。私が尊敬してやまなかったジャーナリスト、アンナを殺した。端的にいってそれだけが理由である。ロシアによるチェチェンへの侵略戦争を取材し続け、プーチンの悪行三昧を暴きつつあったアンナはいつ殺されてもおかしくなかったといっていい。しかしそれでもまだまだアンナは泳がされるだろうと私は思っていた。根拠があったわけではないが、プーチンが、陳腐な表現だが「悪の帝王」として世界に君臨したいなら、アンナに書かせるだけ書かせて、彼女が世界でより大きな発言力を持ってから叩き潰す、そうした方法をとるんじゃないかと思ったからだ。でも、そうではない。プーチンはせこい。目障りな虫を次々と指先で潰していく。自分で(たいていは指先を汚すの嫌だから)潰せないときは手下を使ってどこまでも潰しに行かせる。そして絶対に、逃がさない。アンナは、新しい記事や著作の準備をしていたが、それが世に出る前に殺された。プーチンは肝っ玉の小さい奴だ。告発を受けて立ち、戦うことなんて、できないのである。悪いことし過ぎて。
歯止めの効かなくなった悪行三昧。種を蒔いたのは、実はエリツィンである。エリツィンもロシアの大統領の名にふさわしく、せこい悪行三昧を積み上げた奴だが、彼の最大の罪は後継にプーチンを指名したことだ。どうしてもプーチンでなくてはならなかった。秘密警察出身で、エリツィンの大小さまざまな悪行についてけっして口を開かぬ人間として信用されていたのだった。
本書は、その秘密警察=FSBという組織の一員として活動していたリトヴィネンコとその友人であるフェリシチンスキーの共著である。ご存じのとおり、リトヴィネンコは英国で何者かに毒を盛られて殺された。友を亡くしたフェリシチンスキーの慟哭が序文として巻頭を飾る。
しかし、こんな本が出ても、プーチンは相変わらずだ。本書のロシア語版はロシア連邦内では発禁処分になっているので【プーチンの国民】は何も知るところがない。本書の一部はインターネットで公開されているというので、もちろん読む人だっているはずだが、またうるさい奴がなにか書いてるぜ、程度にしか認識されていないのであろう。それに、生半可な興味や好奇心から真実を追求しようとしたら最後、FSBに殺される。偽装自殺か何かで。
FSB(本書では連邦保安庁、としている)とは元KGBといわれていた組織で、名を変えながら存続している秘密警察、つまり国家上層部を守るために活動するテロ工作組織である。本書でページを割かれているのは、チェチェン戦争の大義名分を作るために、アパート連続爆破事件を工作した事実についてである。
この一連の事件は、チェチェンの独立派武装勢力によるテロ、などと報道、発表されてチェチェン人のせいにされ、ロシア国民の反チェチェン感情を煽り、チェチェン侵攻の大きな理由としてうまく働いた。
そしてエリツィンは、悪いチェチェン人を懲らしめたので大統領に再選でき、後任に推したプーチンも世論の支持を取りつけることができたのである。
なんでチェチェンに戦争を仕掛けるのかといえば、チェチェン人は独立心旺盛で反露意識が高い、という歴史的合意事項に基づいているに他ならない。
帝政の頃から、ロシアはチェチェンに攻め込んでは抵抗に遭い、撤退を余儀なくされていた。トルストイの「カフカスの虜」という話を一度読んでください。
カフカス地方はロシアにとっては手離せない地理的要衝であるから、どうにかして我がものにしたいのに、ならない。第二次大戦の頃、今度は対独協力者の汚名を着せて、チェチェンとイングーシの住民をカザフに強制移住させたりした。
しかし、それでも、チェチェンは意のままにならない。
おまけに、ロシア国民の感情としては、チェチェンって気の毒よね、という向きが多数派であった。ああ、もう、むかつくなあチェチェン、なのである、ロシアとしては。
エリツィンは、たぶん個人的にはチェチェンなんてどうでもよかったと思うが、大統領再選のために第一次チェチェン戦争が必要だったのである。とゆーか、エリツィンに戦争でもやれば? と吹きかけたのはもちろん側近たちやFSB幹部である。プーチンはエリツィンのブレーンであり、その忠実な継承者であったのだ。
皆さんよくご存じのように、いまは現大統領の後ろで院政中である。
本書は、実際にそれとは知らずにFSBのテロ工作に加担させられた人物らの証言を、裏づけを取った上で多く盛り込み、内容に説得力と信憑性を持たせている。本書を読めば、あなたも許せない奴の筆頭にプーチンを置きたくなるだろう。私自身、実はリトヴィネンコにあまり思い入れはなかった。どちらかというとアンナへの思いだけでプーチンを憎んでいたので、リトヴィネンコの事件が報じられたとき、その程度のことロシアでは珍しくもなんともないじゃんと知ったかぶりをしていた。
じっさい、日本のマスコミの論調は、遠い遠い異国で起きたミステリーまがいの不思議なお話、といったふうで、誰ひとり、気に入らない者たちを次々と殺して平気でいる悪代官プーチンがトップに居座る国と普通に国交を続けることの是非を問う者はなかった。ま、そんな国だから私も「許せない奴、プーチン」なんていえるわけですが。
であるからして、本書が出て飛びついてひと読みしたときは、おおお、アンナにも追いきれなかったプーチンの膿がいっぱいだと感動した。再読すると、志半ばで殺されたリトヴィネンコの無念が胸を突き、涙なしでは読めないのだ(私だけかもしれないが、この手の本で泣くのは)。
しかしわが国では、せっかく出版されたこの本も、よくできた諜報機関小説みたいな扱われ方をしているのか、けっこう売れている(と聞く)割には、内容について積極的に議論されているという話は聞かない。ロシアって裏で悪いことやってんだねえ、くらいなもんだろうか。
おのれに逆らった人間は要人だろうがなんだろうが容赦なく消していく。
いつまでもたてつく民族は丸ごと絶滅させてしまおうと画策する。
余計な噂話をする奴は地の果てまでも追いかけて捻り潰す。
そんな奴が統治する国と、まともな神経ではつき合えないわよね。
娘にロシア留学だけは絶対させないと、私は誓ったのであった(あ、そこへ落ちますか)。
チェチェンについては「チェチェン総合情報」で検索し、トップでヒットしたところを参照してください。けっしてWikiなんぞ参考にしてはいけません。
ちなみにここ ↓ では、チェチェン紛争の歴史について、あまり上手とはいえないが簡潔にまとめられている。
http://chechennews.org/basic/whatis.htm
関係ないが、光文社さんといえば古典新訳の誤訳が取り沙汰されている出版社である。こういうところから出ているというのが、ちょっと、ビミョーだ。あ、でも監訳者さんはロシア関係の著作、訳書のたくさんある方で、信頼が置けます。
チェチェンニュースから抜粋 ― 2007/11/22 18:40:04
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チェチェンニュース Vol.07 No.27 2007.11.21
http://chechennews.org/chn/0727.htm (HTML版) 発行部数:1669部
チェチェン紛争の情報+αを発信するメルマガです。購読は無料です。
■編集室より:
みなさんこんばんは。チェチェンニュースです。明後日の23日(金)は、ロンドンで暗殺された元FSB将校、アレクサンドル・リトビネンコ氏の一周忌です。東京では、チェチェン連絡会議主催の「追悼集会」が開かれます。ぜひご参加ください。
グッドニュースは、ロシア政府が、またチェチェン人への虐待で訴えられ、欧州人権裁判所で敗訴しました。こういうことの積み重ねが、チェチェンでの事態を押しとどめる力になると思います。
さて、チェチェンニュースでは、チェチェンの難民問題を入り口に、他地域の難民や、日本に来ている外国人への差別問題にも関心を持っています。(中略)日本に入国する外国人のほぼ全てが、強制的に指紋を押捺させられるという、入国管理制度が20日に始まりました。外国人であるというだけで、犯罪者や、テロリストの予備軍扱いしているといっていいと思います。
私個人の問題意識としては、まず、ロシアによる「対テロ戦争」であるチェチェン戦争に疑問があります。そして、アメリカ・イギリス・日本が実行しているところのイラク戦争・占領もまた、まったく対テロの戦いではないと思うのです。しかしそれを続けるためには、とりわけ日本政府にとっては、どこかに「テロリスト」がいなくてはならない。ではどこに?
「外国人」にそれを求めれば当面、いいわけです。そこに、治安関係の設備を売り込みたい日米の業者が利益を求めて、政府と業界の利益が一致しています。外国人への障壁をできるだけ高くして権限を確保したい法務省が推進役というところでしょうか。いずれにしても、日本国籍を持っている人のほとんどは、あなたもわたしも、「外国人」がどんなに屈辱的な目に遭っても、あまり関心はありません。
しかし、今、動き出してしまったこの制度に反対の声を上げて、政治を動かさなければ、管理社会の次のステップは、私たちをターゲットにします。その時では遅いでしょう。
生体情報をチップに埋め込んだパスポートも使われ始めており、「海外で取られた生体情報が相互に流用される一大国際監視ネットワークが構築」されようとしています。本当は、もっと早く反対の声を上げるべきだったのですが、今からでも、中止をうったえましょう。イベント情報があり次第、お知らせします。
入国外国人 きょうから指紋採取(東京新聞)
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071121/1195609372
(大富亮/チェチェンニュース)
■アレクサンドル・リトビネンコ追悼集会
―ロシアの闇とチェチェンの平和を考える―
ダウンロードちらし(PDF 2.7MB)
http://chechennews.org/dl/20071123leaf.pdf
独裁化するロシア社会を象徴するような人物が、昨年死亡しました。元FSB(ロシア連邦保安庁)将校、アレクサンドル・リトビネンコ氏です。
リトビネンコ氏は、99年にモスクワなど数箇所の都市で発生した謎の連続アパート爆破事件が、「ロシア治安機関による陰謀だ」と主張していました。なぜ、国を守るはずの治安機関が、数百人ものロシア国民を殺戮したのか? そこには、現代ロシア最大の問題といえる、チェチェン戦争がかかわっています。この連続爆破事件を「チェチェンのテロ」と断定することによって、プーチン首相(当時)は第2次チェチェン戦争に乗り出したのです。
リトビネンコ氏は、この連続事件のひとつ、「リャザン事件」に注目します。これは、ロシアの都市リャザンで未遂に終わった爆破事件で、地元警察が発見した爆薬、起爆装置を、FSBがいち早く回収し、「爆薬ではなく、砂糖だった。テロではなく、演習だった」という不可解な発表をしていますが、これは事実を大きくねじまげたものでした。また、アパート連続爆破事件の犯人はいまも逮捕されていません。
イギリスに亡命し、ロシア政府が隠す陰謀を暴きつづけたリトビネンコ氏は、2006年11月23日、何者かが投与した放射性物質、ポロニウム210によって暗殺されました。
この集会では、6月に日本でも刊行されたリトビネンコ氏の著作「ロシア 闇の戦争」(光文社刊)の監訳を務められたロシア研究者の中澤孝之さんをお招きし、現代ロシアの実情に迫ります。
■特別上映:[追悼/アレクサンドル・リトビネンコ]
[踊れ、グローズヌイ!]のヨス・デ・プッター監督によるドキュメンタリー作品を会場で上映します。(2007年制作 55分間)
日時 : 11月23日(金・祝)13時30分~16時30分(開場13時00分)
報告 : 中澤孝之(ロシア研究者) 岡田一男(司会 映像作家)
主催 : チェチェン連絡会議
会場 : 東京都・文京シビックセンター4F シルバーセンターホール
参加費 : 1000円
地図 : http://www.b-civichall.com/access/main.html
交通 : 東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅徒歩1分/都営地下鉄三田線大江戸線春日駅徒歩1分/JR総武線水道橋駅徒歩8分
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地雷で足を失くした人の苦しみに比べれば、捻挫なんかっ(by midi)
チェチェンニュースから転載 ― 2007/11/02 09:38:38
今回のニュースは、次のURLから写真入りで見ることができます。
http://chechennews.org/chn/0719event.htm (HTML版) 発行部数:1668部
チェチェン紛争の情報+αを発信するメルマガです。購読は無料です。
■編集室より:
すっかり秋らしい日が続くこの頃、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。今月はチェチェン関連のイベントが次々と企画されています。今回のイベント情報では、『踊れ、グローズヌイ!』上映会+講演会、「日本の報道写真家たち-世界の戦場から-」、「アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺とチェチェン戦争」、「アレクサンドル・リトビネンコ追悼集会-ロシアの闇とチェチェンの平和を考える-」を中心に、各種イベントのお知らせをお届けします。
クルド難民関連の朗報もあります。10月30日の参議院法務委員会で、民主党の今野東議員がクルド難民問題について大きく取り上げました。今野議員をサポートし、難民問題に対する市民の関心を国会に伝えるためにも、ぜひフィードバックをお願いします。(邦枝律/チェチェンニュース)
■『踊れ、グローズヌイ!』上映会+講演会
まずは、『踊れ、グローズヌイ!』の上映会と講演会のお知らせから。11月4日(日)には茅ヶ崎市で、11月10日(土)には広島で、12月8日(土)には町田で、『踊れ、グローズヌイ!』の上映会が開催されます。今回は、このうち林克明さんの講演がある広島の上映会の詳細をお送りします(その他の上映会については、アムネスティの以下のサイトをご覧ください)。
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
林さんの近著『プーチン政権の闇 チェチェン戦争/独裁/要人暗殺』は、高文研のサイトよりお買い求め(立ち読みも)できます。
http://www.koubunken.co.jp/0400/0390.html
●広島:チェチェン、そしてロシアを知る。
映画『踊れ、グローズヌイ!』(2002年作品、75分)の上映/林克明氏(ジャーナリスト)のお話
林克明(はやし・まさあき)氏のプロフィール:1960年長野生まれ。1995年以降、15回以上、チェチェンに入り取材を行なう。著書に『カフカスの小さな国 チェチェン独立運動始末』(第3回小学館ノンフィクション大賞優秀賞)、写真集『チェチェン 屈せざる人びと』(岩波書店)などがあり、この9月には『プーチン政権の闇 チェチェン戦争/独裁/要人暗殺』(高文研)が刊行された。
日時: 11月10日(土)午後1時30分から4時30分まで
場所: 広島カトリック会館 多目的ホール
(広島市中区幟町4-42 世界平和記念聖堂の隣の建物です)
資料代等: 1,000円(学生800円)
主催:(社)アムネスティ・インターナショナル日本ひろしまグループ
問い合わせ先:090-3177-7336(野間)
予約は不要です。また、カトリック会館への問い合わせはお控え下さい。
2006年10月7日、ロシアの『ノーバヤ・ガゼータ』紙の記者、アンナ・ポリトコフスカヤさんが射殺されているのが発見されました。彼女は1999年から命がけでチェチェンを取材し、プーチン政権と現地のカディロフ首相を批判しつづけてきました。アムネスティや様々な人権団体がこの暗殺を非難し、真相の究明を訴えてきましたが、まだ解明はされていません。
この度、上記の要領でイベントを開催します。上映する映画『踊れ、グローズヌイ!』はチェチェンの児童民族舞踊団「ダイモーク」(我が祖国、という意味)の活躍を描いたドキュメンタリー作品です。夏休みに1台のバスに全員が乗り込み、中西欧諸国への公演旅行に出かけます。彼らの目的の1つは「チェチェン人はテロリストではなく、普通の人間だ」ということを西側の人びとに知ってもらうためでもありました。子どもたちの美しく気高い舞踊を映し出したこの作品は2003年、第1回シカゴ国際ドキュメンタリー映画祭でグランプリを受賞しました。広島初公開のこの作品をお見逃しなく!
また、この機会に林克明氏の話に耳を傾け、チェチェンのこと、そして今のロシアの情勢について学んでみませんか?
■日本の報道写真家たち-世界の戦場から-
次は日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)主催のイベントの紹介です。11月4日(日)から12月15日(土)まで、埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」で、JVJAのフォト・ジャーナリストによる写真展とトークイベントが開催されます。11月11(日)には、林克明さんのトーク「チェチェンから見た日本とロシア」も。「小泉・安倍劇場とプーチン劇場。北朝鮮とチェチェン。メディアの堕落、軍(自衛隊)の権力拡大、言論表現の自由の制限。チェチェン戦争を切り口に、ロシアと日本のファシズム化」を語ります。
その他もお勧めのトークイベントが満載です。ご都合のつく方はぜひご参加ください。
●11/4(日)「写真で世界を見る方法」(桃井和馬)
写真は世界を見るための窓。しかし窓から光景はちゃんと見えていますか? 知識を想像力を駆使すると、きっとこれまでとまったく違う光景が見えてくるはずです。写真を10倍楽しみ、写真から世界の今を見る方法をお教えします。
●11/4(日)「私たちの見ている『世界』と日本」(豊田直巳)
私たちが写真を撮っている「世界の戦場」の現場で感じてきたこと。そこに暮らす人々と接しながら考えたこと。それは私たちは何のために写真を撮っているのかにも通じることです。そして、その写真を発表する日本の現状は、その写真を見る私たちは……。
●11/10(土)「世界のヒバクシャ 核実験場周辺で何が起きているか?」(森住卓)
広島、長崎に原爆が投下されて世界は核の時代へと突入した。この核の時代にヒバクシャは世界中で生み出されている。特に核戦争のための核兵器開発の舞台となった核実験場は安全性よりも機密保持と核開発が優先され、ヒバクシャは沈黙させられたが……。
●11/11(日)「チェチェンから見た日本とロシア」(林克明)
小泉・安倍劇場とプーチン劇場。北朝鮮とチェチェン。メディアの堕落、軍(自衛隊)の権力拡大、言論表現の自由の制限。チェチェン戦争を切り口に、ロシアと日本のファシズム化を語る。
●11/17(土)「老いの風景から戦争の記憶へ」(山本宗補)
8年前から日本各地で「老い」をテーマに撮影してきた。今はお年寄りの脳裏に刻まれ、忘れられようとしている「戦争の記憶」を聞き取り、写真と解説文での表現を試みはじめた。
●11/18(日)「ジャーナリストの死をめぐって」(綿井健陽)
ミャンマー(ビルマ)でジャーナリストの長井健司さんが取材中に殺害された。しかし、イラク・アフガン・ロシア・フィリピンなど、世界各国でいま地元のジャーナリストたちを狙った誘拐・殺害・弾圧・拘束事件が相次いでいる。なぜいまジャーナリストたちは標的とされるのか。様々な映像から戦争取材の現場の実態を考える。
●11/23(金・祝)「ハンセン病問題は終わらない」(八重樫信之)
96年のらい予防法廃止をきっかけに、現在までハンセン病問題の取材と支援活動を続けている。国賠裁判以降、この問題は終わったものと考えられがちだが、偏見と差別という人権侵害はいまだに続いており、残された課題は多い。
詳しくは下記のサイトをご覧ください。
http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/kikaku/2007/jvja.htm
■アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺とチェチェン戦争
次も林克明さんの講演会のお知らせです。11月18日(日)に水戸で行われるイベントで、会場ではビルマ(ミャンマー)情勢の緊急アピールもあります。なお、ビルマ関連のイベントについては、BurmaInfoでチェックできます。
http://www.burmainfo.org/events/200711.html
●講演会「アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺とチェチェン戦争」
射殺された女性ジャーナリストは、何を見たのか。
ロシアで人権侵害の告発を続けてきた、女性ジャーナリストのアンナ・ポリトフスカヤさんが何者かに殺害されてから、早くも1年が過ぎました。チェチェンでの泥沼の戦闘が続く同国では、ジャーナリストや平和運動家の殺害が相次いでいます。
アムネスティ・インターナショナル日本・水戸グループは11 月18 日、ポリトコフスカヤさんと直接の面識をもち、新刊の著書「プーチン政権の闇」(高文研)を出版した、ノンフィクション・ライターの林克明さんを水戸に招き、講演会を開きます。
今一度、ポリトコフスカヤさん暗殺の背景を探り、戦争を遂行する体制の在り様、その悲惨な戦禍について、理解を深めたいと思います。
【概要】
講師 林克明さん(ノンフィクション・ライター)
11月18日(日)
開場 午後1時30分
開演 午後2時 (午後4時30分終了予定)
会場 あむねすみと2F ハングルアカデミー大教室 =水戸市桜川2丁目1-2
(水戸駅南口から徒歩1分)
資料代 500円
主催 アムネスティ・インターナショナル日本・水戸グループ
問い合わせ/Tel.0299-48-2695(徐) Tel.029-231-8151(会場)
http://www.net1.jway.ne.jp/abeusr1/
チラシはこちら: http://chechennews.org/dl/20071118leaf.pdf
【ビルマ(ミャンマー)情勢緊迫緊急アピール】
反政府デモ弾圧の中で日本人ジャーナリストも射殺されるなど、ビルマでは緊迫した情勢が続いています。国民民主連盟(NLD)マンダレー支部元幹部のティン・ウィンさん(群馬県太田市在住)に来場していただきます。
■アレクサンドル・リトビネンコ追悼集会 -ロシアの闇とチェチェンの平和を考える-
最後は以前からお知らせしているリトビネンコ集会について。
イベントのURLはこちら。
http://chechennews.org/event/
ダウンロードちらし(PDF 2.7MB)
http://chechennews.org/dl/20071123leaf.pdf
独裁化するロシア社会を象徴するような人物が、昨年死亡しました。元FSB(ロシア連邦保安庁)将校、アレクサンドル・リトビネンコ氏です。
リトビネンコ氏は、99年にモスクワなど数箇所の都市で発生した謎の連続アパート爆破事件が、「ロシア治安機関による陰謀だ」と主張していました。なぜ、国を守るはずの治安機関が、数百人ものロシア国民を殺戮したのか?そこには、現代ロシア最大の問題といえる、チェチェン戦争がかかわっています。この連続爆破事件を「チェチェンのテロ」と断定することによって、プーチン首相(当時)は第2次チェチェン戦争に乗り出したのです。
リトビネンコ氏は、この連続事件のひとつ、「リャザン事件」に注目します。これは、ロシアの都市リャザンで未遂に終わった爆破事件で、地元警察が発見した爆薬、起爆装置を、FSBがいち早く回収し、「爆薬ではなく、砂糖だった。テロではなく、演習だった」という不可解な発表をしていますが、これは事実を大きくねじまげたものでした。また、アパート連続爆破事件の犯人はいまも逮捕されていません。
イギリスに亡命し、ロシア政府が隠す陰謀を暴きつづけたリトビネンコ氏は、2006年11月23日、何者かが投与した放射性物質、ポロニウム210によって暗殺されました。
この集会では、6月に日本でも刊行されたリトビネンコ氏の著作「ロシア 闇の戦争」(光文社刊)の監訳を務められたロシア研究者の中澤孝之さんをお招きし、現代ロシアの実情に迫ります。
●特別上映:[追悼/アレクサンドル・リトビネンコ]
[踊れ、グローズヌイ!]のヨス・デ・プッター監督によるドキュメンタリー作品を会場で上映します。(2007年制作 55分間)
【概要】
集会名: アレクサンドル・リトビネンコ追悼集会
-ロシアの闇とチェチェンの平和を考える-
日時 : 11月23日(金・祝)13時30分~16時30分(開場13時00分)
報告 : 中澤孝之(ロシア研究者) 岡田一男(司会 映像作家)
主催 : チェチェン連絡会議
会場 : 東京都・文京シビックセンター4F シルバーセンターホール
参加費 : 1000円
地図 : http://www.b-civichall.com/access/main.html
交通 : 東京メトロ丸の内線・南北線後楽園駅徒歩1分/都営地下鉄三田線大江戸線 春日駅徒歩1分/JR総武線水道橋駅徒歩8分
もっとくわしく読む
http://chechennews.org/event
■国会でクルド難民問題が審議されました!
10月30日の参議院法務委員会で、クルド難民問題が審議されました。質問者は、「クルド人難民二家族を支援する会」をサポートしてきた民主党の今野東議員。これに、「法相が絡まなくても、自動的に客観的に進むような方法を考えてはどうか」、「私の友人の友人はアルカイダ」発言で最近話題の鳩山法務大臣が答弁をしています。難民問題に対する市民の関心を国会に伝えるためにも、ぜひフィードバック(今野議員には激励を、鳩山大臣や遠山委員長には難民行政への改善要求など)をお願いします。
今野議員と法務省と法務委員会に送るFAX(例)も用意しました。よろしければご利用ください。
今野東議員(民主)へのFAXはこちら:
http://chechennews.org/dl/20071031kurd_konno.pdf
鳩山法務大臣(法務省)へのFAXはこちら:
http://chechennews.org/dl/20071031kurd_mj.pdf
参議院法務委員会 遠山委員長(公明)へのFAXはこちら:
http://chechennews.org/dl/20071031kurd_lc.pdf
「2006年の難民申請者は954人でした。このうちミャンマーから来た難民が7割で、トルコから来た難民が149人で2位になっています。ところが、日本政府はトルコから来ているクルド人は一人も難民として認定していません・・・」
つづきを読む
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071031/1193793940
なぜ日本政府はトルコ国籍のクルド人を難民として認定しようとしないのかについては、以下の東京新聞の記事が参考になると思います。クルド難民サポーターから見た日本の入管行政については、『難民を追いつめる国』と『お隣のメルヴェちゃん』をご覧ください。
[東京新聞 8/19]
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071031/1193799656
「難民を追いつめる国--クルド難民座り込みが訴えたもの」
http://www.ryokufu.com/books/ISBN4-8461-0511-3.html
「お隣のメルヴェちゃん クルド人難民家族との出会い」
http://homepage3.nifty.com/kds/kds_046.htm
■イベント情報
その他お勧めのイベント情報をまとめて。転送・転載も大歓迎です。
●11/4 茅ヶ崎:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
チェチェン関連映画『踊れ、グローズヌイ!』
ぼくたちは「テロリスト」じゃない。世界に伝えるため、子どもたちは踊る
●11/10 広島:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
講演あり:林克明(ジャーナリスト) 「チェチェンからみたロシア・日本・世界」
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
●11/11 東松山:日本の報道写真家たち-世界の戦場から-
悲惨を極める戦場でさえ、決して失われない人間の美しさを映し出す
講演あり: 林克明(ジャーナリスト)「チェチェンから見た日本とロシア」
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/kikaku/2007/jvja.htm
●11/18 水戸: 講演会「アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺とチェチェン戦争」
ポリトコフスカヤ暗殺とチェチェン戦争。ジャーナリストの林克明さんが語る
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071014/11924460861
●11/23 アレクサンドル・リトビネンコ追悼集会
-ロシアの闇とチェチェンの平和を考える-
亡命先のロンドンで暗殺された元FSB将校、アレクサンドル・リトビネンコの著作と
その死から、現代ロシアの実情に迫る
http://chechennews.org/event/
●12/8 町田:『踊れ、グローズヌイ!』上映会
講演あり:大富亮(チェチェンニュース発行人)
「チェチェンで何が起こっているのか」
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1041
●11/2 大田:李政美 養源寺コンサート-ありのままの私-
日韓にファンを広げる在日コリアン二世の歌姫
http://leejeongmi.com/11.2.jpg
●11/2,3 大阪,港:バングラデシュ、チッタゴン丘陵の女性たち
非常事態下での連帯と取り組み -民族対立をこえて-
人権侵害に声をあげ、自立を目指して戦う人々。ジュマの女性活動家シェファリカさんが語る
http://daily.jummanet.org/?eid=555878
●11/16 千代田:政策提言「インドの躍進と日本の対応」報告会
政策提言と、そのフォローアップ。主催:財団法人日本国際フォーラム
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071029/1193668061
●11/16 世田谷:第10回 中東カフェ 私のなかの「ユダヤ人」
-アイデンティティを見つめ直す-
帰化申請の却下で自己のアイデンティティを考えた始めた、ルティ・ジョスコヴィッツさんのお話。中東専門家を交えた討論も
http://www.japan-middleeast.jp/kako_chuto-cafe/10cafe.html
●11/26 横浜:やっぱり9条-神奈川から世界へ
若者が歌う、語る、半藤一利さんと小森陽一さんの対談など
http://homepage2.nifty.com/article9/
●12/1 文京:「終焉に向かう原子力」(第5回)
浜岡原発と六ヶ所再処理工場の本格操業の停止を
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20071010/1191973811
■映画/写真展など
●10/5-11/4 川崎:しんゆり映画祭
やっぱり映画! コミュニティの可能性が広がる元気な映画祭
http://www.siff.jp/siff2007/
●10/20-11/6 世田谷:燐光群公演『ワールド・トレード・センター』
知るのは、あなただけでいい。決して報道されなかった、あの日の出来事
http://www.alles.or.jp/%7Erinkogun/wtc.html
●10/22-11/3 京都:地球の上に生きる2007 DAYS JAPAN フォトジャーナリズム写真展
写真は、ありのままの姿を伝えるメディアにも、すぐれた表現作品にもなる。
混迷を深める世界を知るために。
http://www.daysjapan.net/event/event071012_02.html
●10/28-11/27 丸亀:Space of Time/時の間(ときのあわい) つかもと やすこ個展
大阪とニューヨークを拠点に活動するアーティスト。認識する力、感覚と思考の繋がりを疑いながら。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~Arte2000/current.html
●11/3-2/3 文京:日本とドイツの美しい本2006
日本とドイツのコンクールで選ばれた美しい本の展示
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/071103/
●11/4-12/15 東松山:日本の報道写真家たち-世界の戦場から-
悲惨な戦場でも、決して失われない人間の美しさを映し出す
11/11 講演あり: 林克明(ジャーナリスト)「チェチェンから見た日本とロシア」
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/kikaku/2007/jvja.htm
●12/14-16 新宿:ロシア・アニメーションフェスティバル2007
帝政時代から続く高度なロシアアニメーション。マルシャーク「森は生きている」も
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=6542
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▼ 編集人:邦枝律 発行人:大富亮
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